医療機関の事例で考える
ハイパーコンバージドインフラ vs. コンバージドインフラ、注目製品の長所と短所は
注目を集めるハイパーコンバージドインフラとコンバージドインフラ。医療機関の事例をベースに、それぞれの長所と短所を解説する。
Baystate Healthは、2014年にデータセンターを新設する850万ドルのプロジェクトに着手した。その時、病院システムのリーダーたちは、まだ医療分野ではやや最先端とされていた別の道を切り開くことを最終的に決めた。そして、そのプロジェクトを却下し、仮想化ハイパーコンバージドインフラ(HCI)環境を構築したのである。
他の病院がインフラの必要性に目を向けるにつれて、HCIとコンバージドインフラ(CI)のアプローチを調査すると、検討すべきさまざまな選択肢が見えてきた。
米マサチューセッツ州スプリングフィールドに拠点を構えるBaystateは、幾つかの課題を抱えていた。1つは、医師とスタッフたちにフレキシブルで高性能なテクノロジープラットフォームを提供すること。2つ目は、運用コストと初期コストの上昇を抑えること。そして3つ目は、現在と将来的に必要な需要に対応することだ。
新しいデータセンターを新設した場合に必要と思われる膨大な資金、スペース、冷却装置、電力を検討した結果、Baystateはデータセンターの新設を取りやめた。そして、従来の独立したストレージ、コンピューティング、ネットワークの要素を1つのソフトウェア駆動型のHCIアーキテクチャに取り換えることにした。このセットアップによって、これらの要素が多数のアプライアンス(ノード)に仮想化されて1つにまとまる。そう語るのは、Baystateの暫定最高技術責任者(CTO)としてこのプロジェクトを統率し、ITコンサルティング会社のVertitechITで社長とCEOを兼務するマイク・フェルド氏だ。
Baystateの前最高情報責任者(CIO)は、予測可能な線形費用になるソリューションを探していたため、成長に応じて支払うというHCIの機能を気に入っていた。というのも、HCIのアーキテクチャにノードを追加するだけで拡張できるからだ。「前CIOは、BaystateのIT機能を拡張して進化させるためには、テクノロジーについて非常に重大な賭けに出なくてはならないことを分かっていた」とフェルド氏は振り返る。
サーバ&ストレージ ナビ
ストレージコストの削減と建設コストの節約
その賭けが功を奏した。Baystateは、HR、画像、メール、アカウント、たくさんの臨床アプリケーションや臨床システムなどの巨大なプラットフォームを移行した。にもかかわらず、ストレージコストは半減し、建設コストの350万ドルを節約し、ストレージ以外のハードウェアのコストは20%減ったとフェッド氏は話す。現在、Baystateは700TB近くのデータを保有している。なお、このデータは、3つのデータセンターにある40台以上のHCIアプライアンスに統合している。
また、この新たなITインフラには、半径130キロの範囲にある医療システムに約8000台の仮想デスクトップを展開している。その結果、Baystateの医師や管理関係者がどのデバイスからでもいつでも簡単にネットワークに接続して、中断した時点から迅速に復旧できるようになった。
さらに、HCIのセットアップでは、保守に必要なIT専門家が少なくて済む。そのため、ようやくウェイファインディングテクノロジーやテレメディスンのようないつも遅れがちだったプロジェクトに対応するための人員を確保できるようになった。
HCIに期待される爆発的な成長
まだ初期段階にあると見なされているが、HCIのグローバル市場は急成長を遂げている。2015年には市場規模が8億500万ドルだったが、2016年には15億ドルにまで拡大した。調査会社のIDCによれば、2019年までには約40億ドルに達する見込みだという。
Stratistics MRCの調査では、医療機関によるテクノロジーの導入は比較的遅れていることが判明している。ただし、医療業界では、スケーラブルなストレージ、災害復旧、電子化された患者情報への仮想データアクセスを求めてHCIの導入が進んでいる。
ハイパーコンバージドとコンバージドの長所、短所
ITアーキテクチャの近代化に目を向けている医療機関は、HCIアーキテクチャを検討したくなるかもしれない。だが、HCIアーキテクチャは既存の価値基準を覆す唯一のインフラではない。また、ほとんどのデータセンターの異機種が混在する構造の優れた代替を捜し求めている企業にとって、CIは期待の星だ。
CIは、ハードウェアベースのシステムだ。その狙いは、ストレージシステム、ネットワークデバイス、サーバの互換性に関する問題を最小限に抑えて、冷却装置、電力、配線、フロアスペースのコストを抑えることにある。さまざまなベンダーのサーバ、ストレージ、ネットワークが1つの筐体に統合されている。そして、ベンダーは、これらのコンポーネントが連動することを保証している。
また、これらの各ブロックコンポーネントは、それぞれの目的に応じて切り離して使用できるとEvaluator Groupでシニアアナリストを務めるエリック・スラック氏は述べている。つまり、ストレージは切り離して機能的なストレージとして使用でき、サーバはサーバとして切り離して使用できるということだ。
通常、CIは、あらかじめ構成されたパッケージか、顧客が組み立てる“お決まりの”レファレンスアーキテクチャとして販売されている。企業は個々のブロックをラックに追加することでシステムを拡張している。
HCIとCIの選択肢を調べてみると、検討すべき長所と短所がある。留意すべき点を幾つか紹介しよう。
CIの長所
- 単一のベンダーによって統合され、エンドツーエンドのサポートが提供される
- 企業には、エラーがほとんどなく、迅速で簡単なデータセンターの導入が保証される
- パフォーマンスが向上し、必要なリソースが少なくなる
CIの短所
- ハードウェアと管理ソフトウェアのコストが追加で生じる場合がある
- アップデートがすぐに行われない。厳しいテスト要件によって、新しいプロセッサが新たなデバイスに統合されるまで何カ月もの時間がかかる
- コンバージドインフラでは大きな物理的なフットプリントが求められる
HCIの長所
- 少しずつスケーリングできる
- 購入が必要な物理システムの数が減るためコストが下がる
- 個々のコンポーネントを微調整するITの知識が乏しい小規模な企業に有用なテクノロジーである
HCIの短所
- データセンターはベンダーの管理ソフトウェアを選べない
- HCIを導入するために、まだ使える古いハードウェアを破棄することで余計な費用がかかる場合がある
- 小規模な企業では、大きすぎない構成のHCIプラットフォームを見つけられない場合がある
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