セキュリティ強化か、アプリ互換性優先か
「Windows 7」をあえて使い続ける人が知るべき「Windows 10」の光と影
「Windows 10」のセキュリティ機能が強化されているにもかかわらず、多くの企業は依然として「Windows 7」を使い続けている。だが、その判断は正しいといえるのだろうか。
リリースから2年がたつ「Windows 10」だが、企業での採用率はいまだ「Windows 7」に遠く及ばない。
多くの企業がWindows 10の導入を先送りにしている一般的な理由は、使用中のレガシーアプリケーションがまだWindows 10に対応していないからというものだ。現行のシステムが十分に機能しているとの理由で、移行に抵抗している企業もある。
United Bankは顧客の銀行口座や住宅ローン、融資の管理にサードパーティー製のアプリケーションを使用しているが、これらのアプリケーションがまだWindows 10に対応していないため、Windows 10への移行を進められずにいる。
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「Windows 10」のセキュリティリスク
「競争力を保ちたいなら、ソフトウェアのアップデートは必須だ。当行も、一刻も早く移行を実現したい。常に最新の状態を保ちたいし、利用できるツールは全て活用したいからだ」とUnited Bankでメッセージングとコラボレーションを担当するウィレム・バッカス氏は語る。
バッカス氏は、このサードパーティーベンダーが2018年にはWindows 10をサポートしてくれることを期待している。「そうなれば、私たちも直ちにWindows 10への移行に着手する」と同氏は語る。
「通常はレガシーアプリケーションへの投資が障害となる。実際、そうした事例を多く目にしている」。コンサルティング会社Five Nines IT Solutionsの社長兼CEO、ダグ・グロスフィールド氏はそう語る。
MicrosoftはWindows 10のリリースから1年間、一部のエディションを除き、Windows 7/8.1ユーザーに無償アップグレードを提供した。だがWindows 10のシェアはまだWindows 7のほぼ半分だ。調査会社NetMarketShareによる2017年6月の調査では、一般ユーザーと企業ユーザーを合わせたクライアントPCのOSシェアはWindows 7の49%に対し、Windows 10は26.8%にとどまっている。通常、新しいOSがリリースされても、企業ユーザーは一般ユーザーと比べて移行のペースが遅い。この傾向はWindows 10にも当てはまる。Windows 10の市場シェアの大半は一般ユーザーによるものだ。
Microsoftによれば、Windows 10を搭載する端末は既に5億台を突破したというが、同社は企業ユーザーと一般ユーザーの比率は公表していない。
企業によるWindows 10導入が進まない理由
アプリケーションの互換性が問題となってWindows 10に移行できない企業もあれば、意図的に移行を先送りし、アップデートをできる限り遅らせている企業もある。
「早期導入者として最先端を行くことをためらう企業も少なくない」とグロスフィールド氏は語る。
そうした企業の中には、現行のOSとアプリケーションで良しとし、ハードウェアの次の更新サイクルまでアップデートを実行しないところもある。ハードウェアの更新サイクルは通常3~5年程度だが、投資回収率を最大化しようと、更新時期をさらに先に延ばすIT部門もある。
グロスフィールド氏によれば、Windows 10への移行に伴うトラブルが広く報じられたことも、企業がWindows 10へのアップグレードを渋る要因の1つだという。
2016年8月に大型アップデート「Anniversary Update」がリリースされた際は、サードパーティー製のマルウェア対策製品やVPNクライアントソフトウェアが認識されない不具合が発生し、OSを再インストールしなければ正常に動作しないというトラブルの報告が相次いだ。VPNクライアントソフトウェアの問題は、2017年4月にリリースされた大型アップデート「Creators Update」でも再び発生した。
こうしたトラブルを伝え聞き、Windows 7を使い続ける判断は正しかったと確信を深めた人たちもいるだろう。「私が知るだけでも、Anniversary UpdateとCreators Updateは多くの問題を引き起こしている。こうした累積的な大型アップデートのせいで、サポートコールが増加することになる」とグロスフィールド氏は語る。
さらにグロスフィールド氏によれば、Windows 10への移行を避ける理由として、自動アップデートのためにPCが勝手に再起動される問題を挙げる企業もある。既にMicrosoftはこの問題を解消すべく、「アクティブ時間の変更」機能を追加し、自動アップデートを実行する時間帯をIT部門やエンドユーザーがカスタマイズできるようにしている。
Windows 10導入推進の鍵はセキュリティ
「企業がWindows 10を導入すべき最大の理由は、セキュリティの強化だ」と調査会社Moor Insights & Strategyの社長兼主任アナリストであるパトリック・ムーアヘッド氏は指摘する。同氏によれば、多くのITプロフェッショナルは自分たちが今日直面している多数のセキュリティ脅威を懸念しつつも、PCの保護に必要な措置を十分に講じようとしないという。
Windows 10はリリース当初から、多数のセキュリティ機能を搭載した。「Windows Hello」は、顔認証などの生体認証技術を使ってユーザーが端末にログオンできるようにする機能だ。「Device Guard」は、IT部門が認めたアプリケーションしか実行できないよう、ユーザーのデバイスをロックする。この機能は業務と無関係なアプリケーションをブラックリスト化する方法として有効だが、最大の目的は攻撃者によるマルウェアの実行を防ぐことにある。
2017年9月にリリース予定の「Windows 10 Fall Creators Update」は新しい次世代セキュリティ機能を搭載する。セキュリティツール群「Windows Defender Advanced Threat Protection(ATP)」に、新機能として「Windows Defender Application Guard(WDAG)」や機械学習機能が追加される予定だ。WDAGは、MicrosoftのWebブラウザ「Microsoft Edge」を仮想マシンで実行することによって、ブラウザとブラウザがWebベースで実行するマルウェアをOSの残りの部分から隔離する機能だ。さらに企業はATPに追加される新しい機械学習機能によって、ユーザーの異常な行動を自動的に検知し、警告できるようになる。
目下、セキュリティ分野で特に注目を集めているのは、機械学習の活用だ。「問題を事前に予測したり、攻撃や危険にさらされている状況を迅速に察知したりできる」とムーアヘッド氏は語る。
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