ATMの仕組みは50年前からあまり変わっていない
金融機関ATMに潜む脅威、IoT/M2M時代に欠かせないVPNのセキュリティを再考する
モノのインターネット(IoT)に接続されるATM(現金自動預払機)が増える中、各種ATMと銀行の処理センターの通信を保護することが必要不可欠となっている。
最初のATM(現金自動預払機)が登場したのは1967年だが、ATMの基本的な構成要素はあまり変わっていない。多くの銀行が20世紀のATMを依然として日々運用している。残念ながら、このことがサイバー攻撃のリスクを高めている。旧式の安全でないソフトウェアが広く使われており、ネットワーク構成のミスも頻発している。重要な物理要素が適切に保護されていないこともよくある。
インターネットに接続されたデバイスを探す検索エンジン(「Shodan」など)も、セキュリティリスクに拍車を掛けるばかりだ。最も脆弱(ぜいじゃく)なATMを誰でも見つけられるからだ。接続のセキュリティが適切に確保されていなければ、サイバー犯罪者にとって、リモート操作でATMからお金を盗むのは、赤子の手をひねるようなものだ。
直接手を触れないATM攻撃が増えており、M2M(機械間)環境では、安全なリモート接続が不可欠だ。2016年に世界の幾つかの銀行がマルウェアに攻撃され、ATMをサイバー犯罪者に乗っ取られた。ジャックポッティングと呼ばれるこの手口では、物理的に手を下す必要はない。サイバー犯罪者はセキュリティサービスに全く検知されずに、保護の甘いATMをグローバルATMネットワーク経由で遠隔攻撃することが可能だ。
併せて読みたいお薦め記事
VPNのセキュリティを復習する
- 徹底ガイド:VPNの4世代で振り返るリモートアクセス技術の進化と将来への期待
- Google Playで配信されているVPNアプリの84%でデータ漏えい? その恐るべき理由
- 掲示板への書き込みもバレバレ!? VPNサービスに通信内容漏えいの脆弱性
IoTセキュリティを巡る最新動向
VPNによるリスク軽減
リテール(個人向け)バンキングは、規制により最も厳しい部類の義務を課されており、またサイバー犯罪者にとって魅力的な標的となっている。だが、IoTの取り組みについては、他の業種と何ら変わらないようだ。IoTの導入を急ピッチで進めており、その半面で包括的なセキュリティ対策が立ち遅れている。M2M環境に最近接続された古いATMが特にリスクにさらされている。
ほとんどの銀行のATMネットワークは、高度な暗号化を使用して、やりとりされる金融データの機密性を保護している。だが、リモートATM攻撃の台頭は、多くの銀行には、まだ実施すべき保護策があることを示している。多数の各種ATMと銀行の処理センターを結ぶ接続を保護するための最初のステップは、VPN、ファイアウォール、MAC認証を活用することだ。
VPNによるATMのセキュリティ対策では、
- 自動/常時接続
- 認証
- 集中管理
- 高可用性
という4つの重要なポイントがある。
自動/常時接続に関しては、VPNクライアントは、VPNに自動的に接続し、接続を継続するよう設定する。ネットワークのダウンタイムなどのために接続断が発生した場合、VPNクライアントは、データ接続が回復すると、直ちにセッションを再確立する。
認証に関しては、ATMトランザクションでは2つか3つの人的要素が使用されている。顧客のATMカード、その暗証番号、そして場合によっては、指紋や網膜のスキャンだ。最近のATMでは、顧客のスマートカードと機械内のスマートカードリーダーの組み合わせにより、デジタル認証プロセスを支援する新たなセキュリティレイヤーが提供されている。
ATM VPN接続は、最終的には全て集中管理しなければならない。IT管理者はVPN管理ツールを使うことで、構成の更新、ソフトウェアのアップグレード、証明書の管理をリモートで行える。これに代わる方法は、メモリスティックやCDを使って手動で更新を行うことだけだが、その場合、担当者が機械に物理的にアクセスできるようにする必要がある。残念ながら、これは犯罪行為をしようとしている者に、機械にアクセスしてマルウェアを仕込んだり、内部にデバイスを取り付けたりして、機械を乗っ取る機会を与えることになる恐れがある。
高可用性については、個々のATMとメインネットワークの接続ではダウンタイムが許されないことから、専門家が構築したVPNシステムによって高いネットワーク可用性を実現し、幾つかのバックアップシステムでサポートすることが極めて重要だ。
IoTセキュリティ
IoTがビジネスのあらゆる側面に浸透し始めており、M2M環境における新旧のATMの保護が急務となっている。一部の旧型ATMの古さや、その上で稼働する原始的なソフトウェアのせいでセキュリティホールが残っており、サイバー犯罪者が悪用しかねない。
VPNのデプロイに加えて、ネットワーク上の全サーバにタイムリーにパッチを適用することが、膨大なATMとそのデータセンターとの通信を保護するのに不可欠だ。既存インフラに簡単に統合でき、ハードウェアを追加する必要がない包括的なVPNソフトウェアを利用するのも効果的だ。また、暗号化されていないトラフィックがエンドポイントから送信されないようにすることで、データトラフィックのセキュリティをデバイスレベルで確保することもできる。
さらに、金融機関は、次のような方法により、自社のネットワークを継続的に保護することもできる。
- 最新のファームウェアを搭載しているデバイスだけが自社のネットワークにアクセスできるようにする
- 潜在的な攻撃ベクトルを最小限に抑える詳細な防御フレームワークに、侵入防止システムやファイアウォールといったネットワークセキュリティ技術を実装する
アナリストは、2020年にはM2Mに接続されたデバイスが120億~500億台に増加すると予想している。そのため、接続のセキュリティ確保には最優先課題として取り組まなければならない。VPNを使えば、エンドポイントデバイスが安全な暗号化トンネル経由で通信を行える。その場合、攻撃者がIoTデバイスにアクセスし、金融ネットワークを侵害することはほぼ不可能になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
2
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
3
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
4
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
5
ハイパーコンバージドインフラ徹底比較、「SimpliVity」「Nutanix」はどう違う?
-
6
通話録音の個人情報を自動で無音化 専用端末を無償貸与
-
7
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
8
複雑化するフォント管理に終止符を Monotypeが提唱する安全な運用方法
-
9
「ネットワークインフラの現状と課題」に関するアンケート
-
10
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー