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企業がマルチクラウド環境に向かうべき“必然”と普及へのハードルレッドブルレーシング事例で紹介(1/2 ページ)

多くの企業は複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」体制を取っているだろう。だが複数のクラウドサービスを管理することは容易でない。合理的なマルチクラウド管理戦略とは。

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 少し先の未来に目を向けてみよう。コグニティブコンピューティングの適用に向けて準備を進めている企業は、IoT(モノのインターネット)で何十億ものデバイスにセンサーなどのデバイスを接続していることだろう。また、何年にもわたってクラウドで運用してきたインフラとソフトウェアを、データセンターに戻す移行作業に取り組んでいることだろう。

 だが、これはあり得そうにない状況のように思える。というのも、多くの企業がサーバの保護、冷却、メンテナンスの責任を放棄して、遠く離れたデータセンターでクラウドコンピューティングを運用しているのが実情だからだ。ITコンサルタントのジュディス・ハーウィッツ氏は、このことが世間で話題になり始めていると指摘する。

 ポイントは、マルチクラウド環境になることだ。つまり、本質的には外部で運用するサービスの寄せ集めになる。ビジネスをシームレスに継続できるようにするには、複数のクラウド環境を接続して連携させることになる。

 コンサルティング会社Hurwitz & Associatesの社長兼CEOで、多くのIT技術書を執筆しているハーウィッツ氏は次のように語る。「クラウド全体を考え直していると話す企業が出始めている。『クラウドは複雑になりすぎている。クラウドサービスについて憂慮することがなかった古き良き日に戻りたい』というのが、こうした企業の本音だ」

 このようなフラストレーションを抱えるのは想像に難くない。クラウドサービスには手軽にアクセスできることから、企業はあらゆる種類のクラウドサービスを運用している。例えば、開発者は新しいソフトウェアを試験運用するために「Microsoft Azure」(Azure)を利用し、ビジネス部門はアプリケーション開発に「Amazon Web Services」(AWS)を使用し、そのバックアップに「Google Cloud Platform」を選択するといった具合だ。何か問題が起こると、ビジネス部門はIT部門に頼るため、IT部門の担当者は、ビジネス部門から報告を受けた問題を明らかにして、混乱状態を一掃すべく奮闘することになる。

 この問題を解決するには、クラウドサービスの寄せ集めを1台のコンピュータやシステムとして管理することが必要だとハーウィッツ氏をはじめとするクラウドサービスの専門家はいう。これには、データセンターやプライベートクラウドなど、社内のコンピューティング環境も含む。そして、これには多くの作業が必要になる。大半の企業は、この問題を理解し始めたところで、実際に対処している企業は少ない。

 「どこから手を付ければ良いか分からないのが実情だ。多くの混乱が渦巻き、状況を把握する方法が分からなくなっている」(ハーウィッツ氏)

 IT部門のあずかり知らぬところでテクノロジープロジェクトの運用が開始する。いわゆるシャドーITだ。もちろん、シャドーITが、企業がクラウドサービスを統合すべき唯一の理由ではない。クラウドコンピューティングは、非常に人気が高く、企業はこれまでにない速さでクラウドへの移行を進めている。そのメリットは、コスト削減だけではない。クラウドは、新しいテクノロジーをすぐに試して、ビジネスの需要に対応できる方法でもある。

 「2016 Forrester Research」は、「全てのアプリとワークロードにクラウドが適しているわけではない」と指摘している。そのため企業は、機密度の高いデータや超高速で移動しなければならない膨大なデータを運用するために、オンプレミスのハードウェアを引き続き使用している。これは、システムの接続、データの統合、リソースの最適化という面倒な作業を自社で行わなければならないことを意味する。

 英国の製薬メーカーAstraZenecaで最高情報責任者(CIO)を務めるデイビッド・スモリー氏は、ここ数年の間に外部に委託していたITタスクのうち6億ドル近くを社内に差し戻した。そして、パフォーマンスの向上とITのコスト削減を実現している。その後、クラウドへの膨大な移行を開始した。「クラウドではスキルセットも異なれば、取り組む姿勢も異なる。その上、日常のタスクも5〜10年前とは異なる」と同氏は語る。

複数のクラウドサービスを管理するには

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