「CASB」(Cloud Access Security Broker)製品の失敗しない選び方 4つのポイント:今理解すべき「CASB」の実力【第4回】(1/2 ページ)
自社のニーズに合った「CASB」(Cloud Access Security Broker)製品を選定するには、何に注意すればよいのか。選定をうまく進めるためのポイントを紹介する。
第3回の「クラウドセキュリティの“本命” 『CASB』が備える4大機能とは」まで3回にわたって、「CASB」(Cloud Access Security Broker)の生まれた背景や機能を紹介してきました。最終回の今回は、実際にCASB製品の導入を検討する場合に、製品選定で注目すべきポイントについて解説します。
「クラウドサービスのコントロールポイント」という役割を担うCASB製品は、自らもクラウドサービスとして提供されることが一般的です。本稿では提供形態によらず「CASB製品」と呼ぶことにします。CASB製品の選定時に注目すべきポイントは、主に以下の4点です。
- 選択可能な導入構成
- 運用性向上の工夫
- 新サービスや仕様変更への追従体勢
- CASBベンダーのセキュリティ対策
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今理解すべき「CASB」の実力
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選定ポイント1:選択可能な導入構成
CASB製品には主に3種類の導入構成があり、どの導入構成を選択できるのかはCASB製品によって異なります。CASB製品が提供できる機能の大枠は、導入構成によって決まります。目的や環境に応じて、選択すべき導入構成は変わります。選択可能な導入構成を把握することが、CASB製品選定の第一歩と言ってよいでしょう。
- ログ収集・解析構成
- エンドユーザーとクラウドサービスとの間の通信経路外にCASB製品を配置し、社内LAN内のファイアウォールやWebプロキシのアクセスログを収集
- 製品によってはオプションとしてエージェントを用意し、通信時にオンプレミスのファイアウォールやWebプロキシを通過しないデバイスのアクセスログを収集
- API(アプリケーションプログラミングインタフェース)連携構成
- エンドユーザーとクラウドサービスとの間の通信経路外にCASB製品を配置し、クラウドサービスとAPI連携
- プロキシ構成
- エンドユーザーとクラウドサービスとの間の通信経路内に、プロキシとしてCASB製品を配置
- 製品によってはオプションとしてエージェントを用意し、エンドユーザーの通信をCASB製品のプロキシ経由になるように制御
導入目的が「シャドーIT」のセキュリティ対策なのか、「サンクションIT」のセキュリティ対策なのかによって、適切な導入構成は異なります。第1回「クラウドセキュリティの“熱い”キーワード『CASB』とは何か? 誕生の理由は?」で紹介した通り、企業のIT部門が認知しておらず従業員が個別に利用しているクラウドサービスがシャドーIT、企業が利用を許可しているクラウドサービスがサンクションITです。
シャドーITのセキュリティ対策に適した導入構成
シャドーITのセキュリティ対策が目的である場合、適切なCASB製品の導入構成は「ログ収集・解析構成」と「プロキシ構成」の2通りです(表1)。企業にとってシャドーITの主な懸念は、社内に存在する機密情報の持ち出しです。そのためシャドーITのセキュリティ対策を目的とするのであれば、CASB製品の主な監視対象は社内のエンドユーザーになります。ログ収集・解析構成とプロキシ構成のCASB製品は、いずれも社内LANとクラウドサービスとの間の通信を監視、制御するのに適しています。
構成 | ログ収集・解析構成 | プロキシ構成 |
---|---|---|
概要 | ・通信経路にあるファイアウォールやWebプロキシのアクセスログを収集、解析 | ・通信経路内で通信を直接検査、制御 |
メリット | ・導入が容易 ・通信に影響なし |
・単体でアクセス制御が可能 ・可視化、脅威からの防御、コンプライアンス、データセキュリティ機能を全て提供可能(注2) |
デメリット | ・単体ではアクセス制御が不可能 ・可視化、脅威からの防御機能のみ提供可能(注1) |
・導入が困難(注3) ・通信に影響あり(注4) |
保有する情報資産の重要度やシャドーITに対する姿勢によって、企業がシャドーITに対して取るべきアクションは異なります。どのようなアクションを取るべきかによって、適切なCASB製品の導入構成は変わります。
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