ファン獲得にチャットbot活用など
ウィンブルドン選手権でも活躍、AIが735億ドルの北米スポーツ市場を支える
人工知能(AI)の活用はスポーツの分野でも進んでいる。ファンとのつながりを強めたり、試合中の判定の精度を高めたりするのにAIが役立っている。
プロスポーツは何百億ドルもの市場を持つ産業であり、チームやリーグにとってファンの確保は非常に重要だ。そのために人工知能(AI)を導入して新しいサービスを提供する動きが広がっている。
コンサルティング会社のPwCは、2019年には北米のスポーツ市場だけでも735億ドルに成長すると予測している。スポーツやエンターテインメントのビジネスは好不況を問わずに安定した観客収入を見込めるが、そのためには常に新しい価値を提供する努力が必要だ。そこでAIの出番となる。
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AIのビジネス活用は進んでいる
チャットbotはビジネスに使えるか
ファンとつながるチャットbot
さまざまなスポーツにおいて、今いるファンをつなぎとめ、新しいファンを獲得することがいかに重要かという認識が高まってきた。そんな中、ファンの質問に答えたり、試合情報などを配信したりするチャットbotの活用が広がっている。ファンと1対1でやりとりする対話型インタフェースは、ファン一人一人にかけがえのない体験を提供できる。
プロアイスホッケーチームのセントルイス・ブルース(St. Louis Blues)は2017年のシーズンに、ファンとのつながりを強め、熱心なファンを育てることを目的に、AIを活用した「Facebook Messenger」botを16試合限定で試験的に導入した。この試みにより、個別のファンに最適化したコミュニケーションを提供し、ファンの定着率を高めることができた。このbotでインタラクティブなファン投票への参加を促し、試合中にその場で結果を表示し、イベント中またはイベント後にファンの質問に素早く答えることもできた。
テニスのウィンブルドン選手権大会では、IBMが開発した「Fred」(英国のテニスプレイヤー、フレッド・ペリー氏にちなんだ名称)というチャットbotが観客向けに提供された。このチャットbotは会場案内、食事案内、座席の変更やアップグレードの手続き、選手情報を提供し、リアルタイムに試合情報を配信する。
AIを活用した審判補助システム
審判補助システムへのAIの活用も始まっており、反則の確認など試合中の重要な判断に役立っている。こうしたAIシステムは映像を自動レビューし、プレイのタイミングや選手の位置などの判定を補助する。
ライブビデオやオンスクリーンシステムが公正な判定と透明性の助けになっているように、機械学習を活用したシステムも先入観を排除した判断に役立つ。もっとも、気に入らない判定を下した審判にヤジを飛ばしたい観客にとっては、相手がbotでは物足りないかもしれないが。
AIを利用した補助システムは監督やコーチも支援している。例えば、過去のプレイを記録した大量のデータを即座に調べ、最適なプレイをリアルタイムに提案できる。状況に応じた選択肢を計算し、過去のプレイに基づく予測も可能だ。
さらに、けがや天候、競技場のコンディション、選手の不調など、試合当日の不測の事態に関する助言も提供できる。経験豊富な監督やコーチの代わりになるものはないが、AI機能を備えた機器を監督やコーチが手にし、競技場の内外で勝利に役立てる日は近いだろう。
試合速報や記事の自動生成
AIはスポーツとエンターテインメントの報道にも活用されている。自然言語生成(NLG)システムによって試合後に記事を作成したり、ハイライトをまとめたり、スポーツ記者が現地取材に行けない地区の試合について報じたりすることができる。数値データを基にコンテンツを生成し、それを人が読める要約記事に変換することが可能だ。チャットbotを使えば、高校生の試合など地域の小規模なスポーツニュースも報じることができる。
Microsoftが提供する「Bing Sportscaster」というbotは、スポーツニュースや選手と試合の情報を配信する。これを利用するには、Facebook Messengerなどを使って、好きなチームや選手についてこのbotと会話を始めればいい。
AIシステムは、試合の動画やハイライトをさまざまなチャネルに素早く配信するのにも利用されている。ゴルフ団体のPGA Tourは、各選手のラウンドを5分にまとめた動画などを生成して配信するのにAIを利用している。これは、AIを使わなければ何時間もかかるような作業だ。
PGA Tourは、「Quill」というNLGサービスを活用して、各選手のラウンド別の要約記事を自動生成している。あまり有名でない選手についても報じることが可能になり、ファンにこれまで知らなかった選手を紹介できるようになった。
AIを導入することで、競技場の内外両方で、よりパーソナライズされたインタラクティブなサービスと豊富な情報を提供でき、ファンとのつながりも向上させることが可能だ。スポーツ界ではこれからますますAIの活用が広がっていくだろう。
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