命を守り、費用と時間を節約する「診療診断支援機能」(CDSS)の可能性:医療用APIが普及すれば実現できること
オープンソース技術や医療用APIがあれば、医療ITは飛躍的な進歩を遂げるだろう。ある医学博士は「後はただ前進するだけだ」と考えている。同氏は医療用APIの普及がもたらす可能性の一つとして、診療診断支援機能(CDSS)の進化を挙げる。
医療グループIntermountain Healthcareで最高医療情報責任者を務める医学博士スタン・ハフ氏は、2018年6月にボストンで開催された「Object Management Group」(注1)のカンファレンスで、メディカルプラットフォームの相互運用性、医療用API、医療ITのオープンソースへの取り組みについて力説した。
※注1 Object Management Group(OMG)は国際的な標準化コンソーシアム。
ほぼ全ての業界のIT部門は、長い間APIを利用するヘビーユーザーだった。APIとはソフトウェアを機能単位で分割し、それぞれ組み合わせて開発する方式の標準仕様で、開発と相互運用を容易にするものだ。APIにはオープンソース化の動きもあり、公益のため、コードの共有、再利用、改良を促している。
だが、医療分野のITはこうした考え方に弾みがつくのが遅い。最近になってようやく、Appleが初めて「Health Record API」を開発者に公開したところだ。AppleのAPIはFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources:迅速な医療情報相互運用のためのリソース)を基盤とする。FHIRは2014年に作成され、現在の最も話題になっている医療用APIといえる。
だが、話題にはなっても、導入までの道のりは遠い。ハフ氏が指摘した通り、このことこそ大きな問題なのだ。ハフ氏は会場の医師たちに次のように語りかけている。「FHIRの導入は実際には簡単だ。電子健康記録(EHR)の企業から前例がないほどのサポートがある。だが、まだ実績が少ない。ビジョンはある。ただ前進するだけだ」
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