89%の企業に勝手クラウドの存在が?
クラウドはIT戦略ではなくビジネス戦略 企業を成長させる活用法とは
企業のクラウド戦略は事業部門の成長をも左右する。Gartnerで研究主任を務めるダリル・プラマー氏が、優れたクラウド戦略を立案する必要性と、計画段階で避けるべきミスについて語った。
クラウドの利用は、デジタル企業に多くの機会をもたらし、事業の成長と拡大を可能にする。
『Gartner Symposium/ITxpo 2018』に登壇したプラマー氏は、次のように語った。「企業のIT機能と事業を強化できるかどうかは、クラウドへの力の入れ方に左右される。連携するベンダーが拡大や成長の準備を整えているかどうかを判断することも重要になる」
プラマー氏はクラウドコンピューティングが単なるテクノロジーではなく、サービスモデルであることを再認識するよう促した。「クラウドは事業に柔軟性をもたらす。テクノロジーの運用についてそれほど考えずして価値を創造できる」
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「期待する成果をもたらすサービスモデルに移行する必要がある。必ずしもテクノロジーに頼る必要はない」(プラマー氏)
プラマー氏は企業クラウド戦略を、絶えず更新を繰り返すドキュメントだと説明した。このドキュメントには、企業のクラウドに対する簡潔な見解と、クラウドの企業での役割を盛り込む。クラウド導入の方針を示したり、ベンダーの選定方法についての判断に役立てたりするものではない。企業クラウド戦略は、クラウドに関する企業の考え方や長期的な計画の指針となるドキュメントだと同氏は話した。
企業が作り上げる事業戦略とその成果が、企業クラウド戦略の原動力になるとプラマー氏は強調する。「クラウド戦略は、企業の事業部門とIT部門が協力する取り組みとして構築するものだ。事業部門の業務を考慮していなければ、結局はやり直しになる」(プラマー氏)
クラウド戦略の策定時に避けるべきミス
企業がクラウド優先の戦略を検討している場合、事業の成長と拡大に、クラウドをどのように利用できるかを考える。同時に事業を減速する要因を避けることも必要だという。
企業クラウド戦略を策定するときは、テクノロジーに関して昔決定したことに、事業の有益な方向転換を妨げられないようにすべきだ。
「変化を受け入れなければならない。事業にメリットをもたらすことを望むのなら、ひるむことなく既に決定したことを覆し、クラウド化を進める必要がある」(プラマー氏)
プラマー氏は、クラウドを全体的なビジネス戦略ではなく単なるIT戦略と見なすことがないよう、CIO(最高情報責任者)やIT専門家に呼び掛けた。クラウドを単なるIT戦略だと考えると、事業を減速し後退させることになる。
過去5年間にGartnerが調査した企業の89%では、IT部門の知らないうちに事業部門がSaaS(Software as a Service)を購入していたとプラマー氏は話した。これは適切ではない。クラウドコンピューティングを適切に設定するには、IT部門の協力が欠かせないと同氏は付け加えた。
IT担当者は、アプリケーションをクラウドに移行する際、従来システムをできるだけクラウドにそのまま移し替えるリフト&シフト方式にとどめてはいけないと同氏は助言した。この方式はそれまでしてきた作業を投げ出す必要がないため、最初の一歩としては優れているが、悲惨な結末へ向かう一歩になってしまう。
「近代化を始めなければならない。アプリがクラウドに移動することを理解する必要がある。自動スケーリング機能やコンテナ化を利用すれば、よりクラウドネイティブな機能を作り出せる」(プラマー氏)
クラウド戦略をデータセンターの移行戦略と考えてはいけない。プラマー氏は、データセンター全体をクラウドへ一気に移行するのではなく、ワークロードを1つずつ移行するよう勧める。データセンター全体の移行を試みた大半の企業は、戦略の中止と再開を何回も繰り返していることを知っておくことも重要だと同氏は言う。
十分なスキルと知識を一度身に付けてしまえば、ワークロードをグループ単位で移行できるようになる。データセンター全体の移行が目標ならば、段階を踏めば実現できると同氏は付け加えた。
プラマー氏は『Gartner Symposium 2018』カンファレンスの参加者に向けて、クラウド優先という考え方はクラウドしか運用しないという意味ではないと注意を促した。HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)やPII(個人を特定できる情報)などの極めて機密性の高いデータを含むワークロードは、恐らく何年もオンプレミスに保持しなければならない。クラウドとクラウド以外の環境を共存させるのは間違いではないと同氏は付け加えた。
「避けなければならないミスを頭に入れておくといい。そうしたミスを犯すと、実際にはたどりたくない道を進むことになる」(プラマー氏)
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