見放したわけではないというが……
OpenStackとの蜜月は終了? Azure移行を決めたWalmartのクラウド戦略
小売り大手WalmartはOpenStackを支持してきた企業の1社だが、Microsoftと5年間の提携を結び「Microsoft Azure」を選んだ。しかし同社は「OpenStackを引き続き利用する」と強調する。同社のクラウド戦略の狙いとは。
米国小売り大手企業Walmartのクラウド導入戦略は「Microsoft Azure」へと大きく方向を変えた。だが、OpenStackを完全に見放したわけではなさそうだ。
WalmartがMicrosoftと5年間の提携を結び、Microsoft Azureのクラウドを選んだ。そのこと自体は驚きではないが、OpenStackの利用を今後どうするかについては疑問が浮かぶ。WalmartはOpenStackを支持してきた有力企業の1社だ。同社は、自社データセンター内でのソフトウェアの大規模なプライベートクラウド導入に数百万ドルを投じている。OpenStackは、本来「Amazon Web Services」(AWS)などのパブリッククラウドプラットフォームの代わりとなるオープンプラットフォームと見なされ、世界有数のIT企業数社の支援を受けてきた。だが、最近は勢いをほとんど失い、ハイパースケールなパブリッククラウドベンダーに後れを取っている。
OpenStackは運用が難しいことで有名だ。それが、人気が伸びない理由の1つになっている。Walmartを含めOpenStackの運用に成功したとする企業もある。ただ、そうした企業もOpenStackの構築と保守を担当するエンジニアを雇うことになった。Walmartのような規模と名声を誇る企業から見放されたら、OpenStackが衰亡の一途をたどるのは確実だが、まだそのような事態にはならないようだ。Walmartの広報担当者によると、同社はOpenStackを引き続き利用するという。
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「今回の提携によって、当社が行ってきたOpenStackに関する取り組みがなくなることはない。当社がOpenStackに時間と費用を多く掛けてきたのは明らかだ」と広報担当者は話す。
Walmartは引き続きOpenStackプロジェクトに貢献し、同社のプライベートクラウドにOpenStackを使用する予定だ。だが「Microsoftとの提携は、同社のハイブリッドクラウド戦略に柔軟性と機敏性をもたらすことが目的だ」と広報担当者は話している。WalmartはMicrosoftの力を借りてワークロードをパブリッククラウドへ移行し、Microsoft Azureや「Microsoft 365」など、Microsoftの豊富なクラウドツールを自社のさまざまなブランドで利用する予定だ。同社の通信販売サイト「walmart.com」と、同社による会員制スーパー「Sam's Club」のWebサイトの大部分がMicrosoft Azureに移行される。WalmartはIoTツールを利用して同社施設のエネルギー使用量を削減し、機械学習を導入してサプライチェーンの物流の強化を図るという。「WalmartはMicrosoftと協力して合計で数百もの既存のアプリケーションを移行させる」とMicrosoftがブログ記事で伝えている。
AWS以外なら何でも利用するWalmartのクラウド戦略
全く驚くことでもないが、AWSはMicrosoftを大きく上回っている。AWSはパブリッククラウド市場の最大手ベンダーだ。だが、その親会社Amazon.comは小売企業Walmartにとっては強力な競争相手だ。小売企業の中には、自社のIT事業でAmazonを援助することに慎重な企業もある。2017年のレポートでは、Walmartが同社の小売りパートナーにAWSの利用をやめるように圧力をかけていると伝えられた。
Walmartは既にMicrosoft Azureと関係を持っていた。同社は2016年にオンライン小売企業Jet.comを買収した。そのJet.comが自社のインフラを当初からMicrosoft Azureでホストしていた。
Microsoft AzureはWalmartが公式に選んだクラウドベンダーだが、同社は適切であれば他のクラウドプラットフォームを利用する可能性も残している。
「もちろん、当社が顧客にとってさらにアジャイルになるのを支援してくれる可能性のあるあらゆる企業と連携する方法を、今後も模索し続ける」と広報担当者は述べている。
Walmartは自社のプライベートクラウドにOpenStackを利用していることを強調しているが、プライベートクラウドの機敏性のうちどの程度がOpenStackによるものかは後になってみないと分からないだろう。
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