商用ディストリビューションの価値とは
なかなか盛り上がらないOpenStackの企業導入、廃業するベンダーも(1/2 ページ)
企業がOpenStackを導入する場合、ベンダーのディストリビューションやマネージドサービスを選ぶことが多い。PayPalなどの大手企業のように、コードを自ら構築する例はあまりない。
結局のところ、OpenStackは企業がプライベートクラウドの構築に踏み切る手助けにはならないのかもしれない。OpenStackは、導入の中心となるサービスプロバイダーや通信会社以外に顧客層を広げようと努力を続けている。企業がOpenStakを導入すると、ほとんどの場合、慣れない作業に追われるだろう。仮にコスト削減や相互運用性の向上に魅力を感じているとしてもだ。
OpenStackが技術や学術の以外の大規模企業顧客を取り込むのはまだ先の話だ。OpenStack Foundationが実施した最新のユーザー調査によれば、メーカー、小売り、消費財、エネルギーなどの伝統企業でのOpenStack導入率は10%を下回っているという。導入の先頭に立っているのはIT業界の企業だが、その中には、独自のディストリビューションを販売するベンダーや、マネージドOpenStackでプライベートクラウドを運用するベンダー、OpenStack指向の他の製品を扱うベンダーも数多く含まれている。
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OpenStack for Enterprise座談会
OpenStackディストリビューション選び
OpenStackの価値
OpenStack導入で失敗しないために
OpenStackと特に関連性の深い顧客にはWebスケールの企業が含まれる。その代表がPayPalだ。こうしたWebスケールの企業は、OpenStackを単独で使用してコストを削減できる経験豊富な人員を抱えている。
ただし、大半の企業はそのような人員を抱えておらず、才能豊かな技術者にアクセスする手段もない。OpenStackを扱えるエンジニアは、扱えないエンジニアよりも4万ドル以上多くの年収を稼ぐ。OpenStackのトレーニングを社員に行っても、その社員が退職する恐れがある。こう話すのは、Forrester ResearchでプライベートIaaSクラウドのアナリストを務めるローレン・ネルソン氏だ。
OpenStackの最大の価値は、ディストリビューションを使用しない大規模編成から得られる。だが最終的には最低限のコストでプライベートクラウドを構築することになると同氏は続ける。ディストリビューションを使用する場合はOpenStackのパーツとなるマネージドサービスに対価を支払うことになる。
マネージドOpenStackとその対価
コンバージドインフラとOpenStackベースのホスト型プライベートクラウドは、プラットフォーム自体を導入するコストと複雑さに比べれば、多くの企業にとって扱いが容易になる可能性があり、コストも決まっている。それでもOpenStackの企業導入は茨の道だ。
HedgeServ Corporationでグローバルプラットフォームエンジニアリング部門のディレクターを務めるイサ・ベリシャ氏は、2015年にOpenStackのベンダーディストリビューションについて調査した。最初に調べたのは、Mirantis、Metacloud、Pistonの3社だ。現在、MetacloudとPistonはCisco Systemsに買収されている。
同氏の最初のインストールは、Mirantisとのプロフェッショナルサービスエンゲージメントだった。これは問題なく稼働し、運用を始められたが、すぐに幾つかトラブルに直面した。そのトラブルの例には、仮想マシン(VM)の稼働停止、一部のVMのダウンにつながるキャッシュの消滅、システムとNovaコンピュータとの不均衡、オーケストレーション機能の機能低下、Cinderドライバの反応速度の低下などがあり、オンラインになるまで時間がかかるようになった。
「これらはイメージ配置、コンピュート分散、負荷といった重要な分野のポイントとなる根本的な機能で、いずれも間違いなく機能すると考えるものだ」とベリシャ氏は話す。
最終的にベリシャ氏は、VMwareの「VMware Integrated OpenStack」とのマネージドサービスエンゲージメントに決めた。
ベンダーディストリビューションでもマネージドOpenStackクラウドでも、オープンソースクラウドソフトウェアの経済的メリットが常に得られるとは限らない。複雑さを取り除くベンダーディストリビューションでは、予想していたコスト削減が縮小される可能性もある。
「このようなディストリビューションの多くは非常に高価だ」とForresterのネルソン氏は話す。同氏は、3万台のVMという提案についての最近の要求を指摘した。これにはソフトウェアライセンス400万ドルが必要になる。
「VM当たりのコストを考えると、投資に見合う見返りを得るのは非常に難しい」(ネルソン氏)
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