「誰の承認で止まっているか」が見えない
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
グループウェアが普及しても、3割弱の現場では「Microsoft Excel」「Microsoft Word」ファイルをメールで回覧する運用が残る。「Microsoft 365」導入企業の4割が苦しむ、稟議・決裁のアナログ運用の壁とは。
SaaS(Software as a Service)ベンダーのrakumoは2026年8月、「Microsoft 365」を全社導入している企業に勤務中の、稟議(りんぎ)・決裁業務に関わる担当者111人を対象とした調査を実施した。調査結果から、グループウェアやクラウド型コラボレーションツールが普及した現代でも、社内の承認手続きには旧来の手法が残存する実態が明らかになった。
調査結果から、全体の4割弱に相当する担当者が現在の稟議・決裁プロセスに課題を抱えていることが判明した。その主な要因は、「Microsoft Excel」や「Microsoft Word」のファイルをメールで回覧する運用であり、進捗(しんちょく)の把握や承認フローの管理に支障を来している。
生産性向上が急務になる中、Microsoft 365を利用する現場はどのような障壁に直面し、どのような改善策を必要としているのか。
アナログ運用が招く「誰の承認で止まっているのか」問題
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アナログなワークフローの改善
稟議申請や決裁などの社内での承認が必要なプロセスで、主に使用する手法を尋ねた結果、「Excel・Wordなどの書式をメールで回覧・提出」が27.9%で最多だった。「Microsoft 365の標準機能」は22.5%にとどまる。「紙・押印による回覧」の13.5%を加えると、全体の4割以上が専用システムを用いずに手作業で運用している状態だ。稟議・決裁業務が円滑に進んでいるかという問いには、「全くそう思わない」(7.2%)と「あまりそう思わない」(30.6%)を合わせた37.8%が否定的な回答を示した。
現場が直面している具体的な課題は、「誰の承認で止まっているか、進捗がわかりにくい(通知への気づきにくさ含む)」が49.5%に上り、最も高い割合を占める。次いで「申請から承認完了までに時間がかかる」が42.1%、「申請の種類や部署によって、承認ルート・ルールが異なりわかりにくい」が36.8%と続く。専用システムの不在によって、プロセス全体の可視性が低下している状況が読み取れる。自由回答でも、「差し戻す際の理由の伝達業務」や「どこで止まっているのかわかるようにしたい」といった、現場の運用負荷を訴える声が複数寄せられた。
標準機能の利用経験と明らかになった限界
Microsoft 365の標準機能を主な申請方法として利用していない企業でも、「Microsoft Teams」の承認機能やワークフロー自動化ツール「Power Automate」といった標準機能を利用した経験がある層は一定数存在する。利用経験の有無を尋ねた設問では、「現在、使っている」が55.8%、「過去に使っていたが、現在は使っていない」が12.8%で、合計68.6%が標準機能に触れた経験を持つ。
ただし、標準機能の運用には特有の壁が存在する。標準機能を利用した経験がある回答者に課題を尋ねると、「複雑な承認フロー(多段階・条件分岐など)が組みづらい」が52.4%に達した。「定型的な申請書式(テンプレート)がなく、フォームを一から作成する必要がある」も47.6%と高い割合を示した。
標準機能を使ったことがない回答者にその理由を尋ねたところ、「標準機能でワークフローを構築できると知らなかったから」が34.6%で上位に入った。「複雑な承認フローには対応できないと思ったから」が30.8%、「既に専用のワークフローシステムを利用しているから」が26.9%と続く。機能に関する認知度の低さに加えて、組織改編や代理承認などの要件が複雑化しやすい日本の稟議・決裁に対する機能的な懸念が見え隠れする。
「現場主導の運用」と「既存ツール群との連携」を求める声
今後の改善意向は「専用のワークフローシステムを新たに導入して改善したい」が52.3%で最多となった。一方で、「Microsoft 365の標準機能を活用して改善したい」も39.6%存在し、既存ツールの有効活用へのニーズも一定数存在する。
専用のワークフローシステムを新規導入または見直しする場合に重視するポイントは、「申請者や承認者が直感的に操作できること」が50.5%の回答を集めた。次いで「ITに詳しくなくても、自社の担当者で設定・運用できること」が46.8%、「多段階や条件分岐など、複雑な承認ルートに対応できること」が37.8%だった。高度な技術的知見を要さず、現場部門の担当者が自律的に運用ルールを管理できる操作性が求められている。
Microsoft 365との連携機能に求める機能を問う設問では、「会社のMicrosoft 365アカウント(Microsoft Entra ID)でそのままログインできる(シングルサインオン)」が56.8%で首位となった。「Outlookのメールや、Teamsのチャット通知から申請内容の確認や承認操作ができる」が54.1%、「組織情報(Microsoft Entra ID)と連動し、人事異動や組織変更があっても承認ルートが自動的に更新される」が40.5%と上位を占める。
これらの結果から、企業は単なるペーパーレス化にとどまらず、アカウント管理の集約や日常的に使用するコミュニケーションツールとの連動など、既存の業務プロセスを分断しないシステム構成を求めていることが分かる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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