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6.6億円のコストを削減した、RPA導入成功の秘訣慎重に進めたRPA導入

John Lewis PartnershipはRPAを導入して6.6億円のコスト削減に成功した。同社の事例から、経営層や事業部門に受け入れられる導入プロセスの在り方を見ていく。

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 小売りグループJohn Lewis Partnershipは、オンライン企業との競争が激しくなっている分野のビジネスプロセスを自動化した。生産性の向上とコストの削減が目的だ。

 小売りブランドのJohn LewisとWaitroseを擁する同社は、Blue Prismのロボティックプロセスオートメーション(RPA)技術を導入し、手作業で行ってきた繰り返しの多いプロセスを自動化。さらに開発者チームを備えた卓越した研究拠点(センターオブエクセレンス)も設置した。

 同社は既に、RPAによるソフトウェアロボット(デジタルワーカー)を60台使って40個のビジネスプロセスを自動化している。この自動化したプロセスを財務、人事(HR)、サプライチェーンなど、さまざまな部門で利用している。John Lewis Partnershipで自動プログラムの責任者を務めるクリス・ギャレット氏によると、これまで約500万ポンド(約6億6000万円)のコストを削減し、より価値の高い有意義な仕事にスタッフの時間を回せるようになったという。

 RPAが選択肢に浮上したのは、同社が生産性を高める方法を模索していたときだと同氏は話す。「生産性という観点から自動化の検討を始め、生産性向上の余地について全社を調査した。その際にRPAの利用という案が浮かんだ」

 2017年当時、RPAはビジネスのユースケースが紹介される新しい技術だった。「小売業界では大きな話題になっていて注目を浴びてはいたが、導入はあまり進んでいなかった」とギャレット氏は振り返る。

 John Lewis Partnershipは、HR、購買、マーチャンダイジング、オンライン小売りの分野においてRPAをテストするために、Deloitte Touche Tohmatsuに協力を仰いだ。「この初期テストでは、RPAにはニーズがあり、多くのメリットが得られることが分かった」と同氏は話す。

 最初のプロジェクトはHR部門だった。HR部門は従業員から身元保証を求められることが多い。これはビジネスとしては価値のない手が掛かるプロセスだ。同社はRPAを使って、HR部門にある複数のレガシーシステムを相互に結び付けることに成功した。これは、普通なら非常に複雑でコストがかかる作業になるだろう。

 「ロボットにコストがかかる統合を行わせるのではなく、人間の行動を模倣させる。人間が行うのと全く同じように、システムを起動し、メニューを操作させる」(ギャレット氏)

 自動化を導入するプロセスとしては、この最初のプロジェクトが重要だった。このプロジェクトによって、経営陣はRPAの考え方を受け入れただけでなくビジネスへの導入を決めたためだ。

 「経営陣から非常に良い反応を得たとしても、特定のプロセスの自動化につなげるためにはそれ以上の変化が必要になる」(ギャレット氏)

自動化についての会話の変化

 最初のプロジェクトの後、RPAの役割についての事業部門の認識と理解が進んだとギャレット氏は話す。

 もっと多くの従業員の関心をRPAに引き付けるもう一つの方法は、ロボットに名前を付けることだった。これによって会話が変わった。例えば以前なら「ITに障害が起きた」だったのが、「ヘッティの具合が悪い」に変わった。

 その後、同社は不正検出プロセスを自動化した。不正のチェックはそれまで手動で行っていた。だが、RPAを使うことでそれまで以上に一貫性が保たれるようになった。

 自動化チームとメンバーへの投資が増えているとギャレット氏は話す。「多数のロボットを動かすようになったため、開発チームだけでなく運用チームも立ち上げなければならない」

 現在12人から成る自動化チームは、生産性向上プログラムからIT部門に移った。

 同社は現在、購買やマーチャンダイジングに加え、コンタクトセンター業務での自動化を検討している。

 「標準のRPAを使って簡単に成果を上げることができた。今はさらにインテリジェントなコグニティブオートメーションを検討している」と同氏は語った。同氏は、RPAとチャットbotを結び付けることなどを想定しているのだろう。

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