データサイロの解体手段にクラウドを選んだ2つの事例:データサイロを解体した4社の事例【後編】
データの整理と分析の課題は、適切な製品/サービスを使うことで解決する場合がある。資産運用会社のAllianceBernsteinとライフスタイルブランドのGoopが選んだ手段は、クラウドだった。
人的問題への対処を終えた企業は、データサイロを解体する技術的解決策としてクラウドに目を向けることが多いと専門家は語る。
企業が抱える問題は、データの整理と分析で解決できることが少なくない。この場合、公的に利用できるデータを当てはめ一定レベルのビジネスインテリジェンス(BI)を実現すればよい。資産運用会社のAllianceBernstein(以下、AB)の事例が、このパターンに該当する。
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データの“脱サイロ化”に挑む
「情報とデータの分量が多過ぎるが故に、その価値が失われることは往々にしてある」と語るのは、ABでBI部門のシニアバイスプレジデントと責任者を務めるケビン・ローゼンフェルド氏だ。
ローゼンフェルド氏によれば、ABはデータサイロの問題に対処するため、リアルタイムで使えるSaaS(Software as a Service)を必要としていた。このときABがサポートを求めたのは、BIと分析を専門とするMicroStrategyだった。環境のセットアップには9カ月かかったが、2007年8月にMicroStrategyのBI製品を使い始めて以来、ABは毎年7万5000ドルの経費を削減している。
「SalesforceのSaaSに予測分析を組み込んで、パーソナライズ可能なWeb・モバイルアプリケーションを実現できた。事前対応のリアルタイムアップデートによって、当社の販売チーム、マーケティングチーム、サポートチームの能力は高まった」とローゼンフェルド氏は語る。
Goopでのデータ統合
Goopは、女優グウィネス・パルトロウが手掛けるライフスタイルブランド「goop」を展開する企業だ。「当同社のデータは至るところに存在し、従業員は必要なデータを探すのに苦労していた」。そう語るのはGoopでテクノロジーインフラのシニアマネジャーを務めるリーパトリック・マッキンタイア氏だ。「オンライン販売の増加につながる写真は特に分類が困難だった。Goopが目指していたのは、機械学習が適用可能な場所に写真を配置することだった」とマッキンタイア氏は言う。
Goopのテクノロジーインフラチームは2つの問題を抱えていた。一つは、販売と利益を増やす上で欠かせないプログラムと過去のデータをどのように関連付けるか。もう一つは次の会計年度に向けて、どのようにアルゴリズムに磨きを掛けるかという問題だ。マッキンタイア氏はこれらの問題に対処できる、クラウドベースのデータ管理ベンダーに目を向けた。
データサイロの解体に当たって提供できるアドバイスがあるとすれば、計画に次ぐ計画だ。「データを構造化する際には、従業員や製品が必要な形でデータへのアクセスを実現できるよう、可能な限りの計画を立ててほしい」とマッキンタイア氏は話す。
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