IoTでホテルの概念が変わる【後編】
郊外のホテルがIoTで具現化した「スマートホテル」とは
「IoT」はさまざまな産業の業務を変革する可能性を秘めている。ホテル業界もその一つだ。IoTを先駆的に取り入れたRoyal Park Hotelは、どのようにホテル業務を変えたのか。
デトロイト郊外のロチェスターにあるホテルRoyal Park Hotelは宿泊客へのホスピタリティを高めるために、IoT(モノのインターネット)によってホテル内の設備をアップグレードした。前編「米ホテルは『スマートロック』導入でチェックインをどう効率化したのか」に続き、同ホテルがどのようなIT環境を構築し、どのようなメリットを得たのか説明する。
メリットを得るのは宿泊客だけではない
Royal Park HotelがIoTを導入するのは、宿泊客の利便性のためだけではない。セキュリティベンダーSekureTrakが提供するBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン製品「TraknProtect Safety Button」は、スタッフと宿泊客の安全強化を目的としている。スタッフがSafety Buttonに埋め込まれたボタンを押すと、Safety ButtonはRuckus NetworksのIoTプラットフォーム「Ruckus IoT Suite」に信号を送る。同ホテルの管理部はこの信号によってスタッフの現在地を特定でき、潜在的にどのような問題があるのかを検討できる仕組みだ。
この方法は、近々ホテル業界に適用されるセキュリティ規制に準拠する手段としても有効に機能する。アメリカのホテル業界団体American Hotel & Lodging Association(AHLA)は自発的に掲げるコミットメント「5-Star Promise」で、2020年末までに北米の全ホテルのスタッフが安全装置を携帯することを義務付けている。「これは大きな取り組みだ。Safety Buttonは、5-Star Promiseの条件を満たすために使用できる」。こう語るのは、Ruckus NetworksでIoT事業のシニアディレクター兼ゼネラルマネジャーを務めるマーク・グロジンスキー氏だ。
IoTで実現する「スマートホテル」の具体像
「当ホテルは、IoTによる資産管理を取り入れた。ルームサービスのワゴンやトレイ、可動式ベッドといった、ホテル内で使用する備品にもSafety Buttonを取り付けた」とローデス氏は話す。Safety Buttonは倉庫、廊下、客室の在庫管理にも役立つ。ワゴンやトレイ、ベッドなどの回収が必要なときにスタッフに通知することも可能だ。ジオフェンシング(任意のエリアに仮想的なフェンスを建てること)機能は、備品がホテル外に持ち出されたときに、それを検知して管理部に通知する。「将来的には、Ruckus IoT Suiteでホテルの照明と空調設備のシステムを接続して、室温を管理するスマートサーモスタットを追加したいと考えている」(同氏)
Royal Park Hotelは各客室とホテル内に、BLEや「Wi-Fi」「Zigbee」の主要無線規格に準拠した設備を導入済みだ。宿泊客はこれらの規格に準拠したIoTデバイスを同じネットワーク内で使用できる。例えばテレビ、空調設備、照明を同じネットワークに接続できる。グロジンスキー氏は「ホテルでIoTを活用する最大のメリットは、客室内の設備を自動化できることだ。それによって宿泊客にとって快適な空間と滞在を提供できる」と説明する。
「特定のものを個別に接続するときではなく、複数のものを接続したときの相乗効果によって考えもしなったような結果が生まれる」とグロジンスキー氏は語る。例えば客室のドアを開けたとしよう。これをトリガーにして、室内のカーテンが開き、サーモスタットが室温を調整し、照明が点灯し、テレビにウエルカムメッセージが表示される。「これは宿泊客に対する歓迎イベントだ」(同氏)。
こうしたスマートホテルの技術を使えば、室内に誰もいないことを検出した場合、自動的に部屋を休眠状態にすることもできる。「照明や空調設備を制御したり、室内の状況を検出したりする機能によって、ホテル業界は今よりも少しは二酸化炭素(CO2)排出量に意識を向けるようになるだろう。これはエネルギーとコストを大幅に削減できる可能性がある分野だ」(ローデス氏)
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IoTでホテルの概念が変わる
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