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NAND型フラッシュの流通が新型コロナウイルスで滞る?新型コロナがメモリ市場に与える影響【後編】

新型コロナウイルスの感染拡大でNAND型フラッシュメモリの需要が低迷すると専門家は予測する。各社が設備投資を積極化させてきた中で、NAND型フラッシュメモリの価格にはどのような影響があるのだろうか。

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 NAND型フラッシュメモリの価格推移については専門家の間で意見が分かれる。調査会社Gartnerの予測では、2020年は依然としてNAND型フラッシュメモリの供給が不足する見通しだ。NAND型フラッシュメモリの価格は上昇し、それに応じてSSD(ソリッドステートドライブ)の価格も値上がりすることが見込まれる。5G(第5世代移動体通信システム)の採用や最新のSSDを搭載した製品が登場することで、2020年下半期にはNAND型フラッシュメモリの供給不足がさらに広がる可能性もある。

 Gartnerによると、中国で生産されるNAND型フラッシュメモリの生産量は、Samsung ElectronicsやIntelを含む世界全体の製造量の16%以上を占める。中国のNAND型フラッシュメモリベンダーであるYangtze Memory Technologies(YMTC)は増産を続けており、「世界全体の生産量の2%近くを占めるようになるだろう」とGartnerは予測する。

 YMTCの本社は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が最初に表面化した中国の都市、武漢市にある。同社の4000人余りの従業員のうち、約2000人が武漢市、上海市、北京市などにある研究開発センターにいる技術者が占めるという。こうした都市に従業員が多いことから、同社は社内での感染拡大を抑止し、生産量を維持するための迅速な対処が必要だった。同社の広報によれば、従業員へのマスク配布、消毒作業の強化、外国人従業員の帰国の延期、可能な限りでの在宅勤務の奨励などを実施したという。

 製造ラインの正常な運営を維持するため、YMTCは原材料のサプライヤーや物流業者と積極的に連携してきた。しかし増産の計画は先送りするようだ。調査会社Forward Insightsの主席アナリスト、グレッグ・ウォン氏によれば、YMTCは通常通りの製造を続けているものの、中国国外のベンダーから製造装置を導入するために必要な外国人技術者が不在のため、増産先送りを決めたという。

新型コロナウイルスで低稼働状態になるSSDの製造現場

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