「量子コンピュータ」はクラウドとオンプレミスのどちらが現実的か?:IBMに聞く「量子コンピュータ」の今【中編】
「量子コンピュータ」には、ありがちな「誤解」がある。それは何か。IBMの量子コンピュータ部門責任者が主要な3つの誤解を紹介する。
現在幾つかの大手ベンダーが、量子力学の原理を利用した「量子コンピュータ」の開発に着手している。量子コンピュータの専門家であるボブ・スーター氏は、2020年代半ばには、量子コンピュータが飛躍的に進歩すると予測する。スーター氏はIBMの研究機関IBM Researchの量子エコシステム開発部門でバイスプレジデントを務め、2019年11月に量子コンピュータの解説書『Dancing with Qubits: How quantum computing works and how it can change the world』を出版している。
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前編「『量子コンピュータ』はなぜ必要か? 従来型との比較で考える」に引き続き、スーター氏に量子コンピュータの現状と、基本的な仕組みについて話を聞く。
―― 企業が量子コンピュータに注目するのはなぜでしょうか。
スーター氏 古典コンピュータ(従来のコンピュータ)では扱いにくい問題を抱えていたり、古典コンピュータの性能に満足していなかったりするからだ。
古典コンピュータが苦手とする問題の一つに、リスク予測がある。金融機関を始めとした幅広い業界で、いかに素早く適切なリスク評価をするか、リスクの評価に必要なデータセットのサイズはどれほどになるかといった問題がある。解決には量子コンピュータが活用できる可能性がある。
科学技術分野の場合、分子の化学反応のモデリング(数式化)には膨大な計算能力を必要とし、古典コンピュータではうまく計算できないことがある。短時間で正確なモデリングをするには、量子コンピュータが必要になる。
―― 量子コンピュータについてよく耳にする誤解はありますか。
量子コンピュータを動かすのはクラウドか、オンプレミスか
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