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クラウドバックアップ「BaaS」選びを失敗させる“あの問題”とは「BaaS」の利点と課題【後編】

「BaaS」はバックアップのコストや作業負荷を軽減してくれる。だが選び方によっては想定外の問題に直面する可能性がある。BaaSの選定時に注意すべき点とは。

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Office 365 | バックアップ | ストレージ


 IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といったクラウドサービスに業務システムを移行する動きが拡大している。「クラウドサービスはデータのバックアップ手段が自動的にバンドルされていると考えがちだ」と、コンサルティング企業EisnerAmperのラーフル・マハナ氏は述べる。

 あらゆるクラウドサービスに、十分なバックアップ機能が付いているわけではない。クラウドサービスに対する誤解は大惨事につながりかねない。「ベンダーが用意している契約条件を細部まで読み、ユーザー企業自らがリスクに対処することが重要になる」とマハナ氏は助言する。バックアップ機能の不足を補う手段として役立つのが、バックアップをサービスとして利用する「BaaS」(Backup as a Service)だ。導入や運用の負荷を抑えてバックアップを導入できるBaaS。ただし利用や選定の際には、注意すべき問題が幾つかある。

BaaS選びで見落としてはいけない問題

 「as a Service」型のサービスを利用する際の問題点は「ベンダーへの依存だ」と、ソフトウェアのレビューを手掛けるSelect Software ReviewsでCEO(最高経営責任者)を務めるフィル・ストラズーラ氏は指摘する。BaaSの場合、ベンダーが倒産すると、バックアップデータを別のデータセンターに迅速に移行しにくくなる恐れがある。「BaaSは機密データをクラウドサービスに保存することになるため、セキュリティの問題も忘れてはならない」。ITコンサルティングを手掛けるInfosysのアナント・アドヤ氏はそう指摘する。

 BaaSベンダーは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中で新規顧客が増えると期待している。ただしBaaSを導入する企業は、BaaSベンダーとの契約に慎重かつ用心深く向き合う必要がある。調査会社Info-Tech Research Groupのカルミ・レビー氏は「ベンダーが選ぶベストプラクティスに従う必要がある」と助言する。それを怠ると「データ損失やデータ漏えいの余計なリスクを背負う可能性がある」とレビー氏は言う。

 レビー氏はBaaSベンダーを選定中の企業に対して、ユーザー企業を満足させているベンダーを探すことを提案する。「ベンダーに対してユーザー企業からの推薦状を要求する。そのユーザー企業に良かった点とそうでない点を詳しく聞くべきだ」(同氏)

 BaaSにはさまざまなメリットがあるが、複雑化が進むストレージの運用管理の問題を解決する特効薬になると考えてはいけない。BaaSはストレージのニーズ全てに対処できるわけではない。バックアップの根本的な問題を魔法のように解決するものではないのだ。バックアップの分野でBaaSへの投資を検討する際は、この点に留意する必要がある。

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