クラウドバックアップの長所と短所、知っておくべき主要ベンダー:ローカルバックアップとの併用が鍵
利用予定であるクラウドバックアップの種類や長所と短所をあらかじめ把握しておこう。場合によっては、テープベースのローカルバックアップも役立つかもしれない。
手頃な価格帯と、容量を最適化するテクノロジーの追い風を受け、テープなどの持ち運び可能なメディアの代わりとしてクラウドバックアップの人気が高まっている。
データをクラウドにバックアップする際の選択肢は幾つかある。Amazon Web Services(AWS)、Microsoftの「Microsoft Azure」、Googleの「Google Cloud Platform」などのパブリッククラウドにデータを直接バックアップする方法もある。クラウドでバックアップをホストし、管理する方法もある。Microsoftの「Office 365」やSalesforce.comの「Salesforce」など、SaaS(Software as a Service)アプリケーションで生成したデータをクラウドにバックアップする方法もある。
クラウドストレージサービスでは、オンプレミスコンポーネントとオフプレミスコンポーネントを混在させられる。クラウドバックアップの場合、IT部門はソフトウェアやハードウェアを、オフプレミスのサービスやインフラと結び付けて、オンプレミスで管理できる。この場合のインフラとは、高性能コンピュータ、ネットワーク、ストレージリソースを収容する大規模データセンターだ。クラウドバックアップサービスは使用量に基づいて料金を請求される。つまり、容量、帯域幅、アカウント数によって課金額が変わる。
クラウドバックアップの考慮事項
どのクラウドにも優れた面があり、クラウドバックアップの場合は長所が複数存在する。クラウドバックアップという手法が重宝する理由は、インターネットに接続していればどのデバイスからでも情報にアクセスできるためだ。共有が容易で、組み込みのセキュリティ対策も備わっている、デジタル情報を管理、検索、取得、転送しやすいことも便利さの理由になる。バックアップストレージの全てあるいは一部を外部委託することは、コストや予算面でも何かしらのメリットがあると考えられる。
クラウドバックアップの長所
クラウドバックアップの利用には幾つかの長所がある。例えば、次のようなものだ。
効率性と信頼性
クラウドベンダーは最先端のテクノロジーを活用している。ディスクベースバックアップ、圧縮、暗号化、データ重複排除、サーバ仮想化、ストレージ仮想化、アプリケーション固有の保護などだ。これらのテクノロジーを使ったサービスを、セキュリティ監査基準「米国監査基準書第70号」(SAS70)の認定を受けたデータセンターで運用している。認定に付随するセキュリティに加え、年中無休の監視、管理、レポートも提供する。ユーザー企業にはこうした機能を自前で用意する余裕があまりないので、クラウドベンダーによるサポートは役に立つ。アップグレード、移行、テクノロジーの陳腐化に頭を悩ませる必要もない。つまりバックアップインフラの負担はクラウドベンダーが受け持つ。
コスト削減を伴うスケーラビリティ
クラウドバックアップを利用するとコストが抑えられる可能性がある。保護するデータがそれほど多くないユーザーや小規模企業では特に当てはまるだろう。パブリッククラウドを利用すれば、スケーラビリティの問題も解消される。データに対してオンプレミスストレージの容量が十分かどうかを、ユーザー企業は心配する必要がなくなる。クラウドベンダーがそうした問題を解消してくれるためだ。バックアップをクラウドに移動するとファイルが地理的に離れた場所に置かれるため、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃などの危険から身を守ることもできる。
小規模データセットの復旧時間短縮
テープから復旧する場合、担当者がテープを回収し、専用の機器にセットして、データの位置を突き止めて復旧する必要がある。これに対してクラウドストレージからのファイル復旧は高速だ。離れた場所からの物理的な移動、テープの取り扱い、目的のデータまでのシーク時間を必要としない。復旧するファイルの位置を特定したらWAN接続経由でストリーミングすればよい。そのため時間が節約され、テープのためのローカルインフラも不要だ。
アクセスのしやすさ
クラウドバックアップは、個別の災害復旧(DR)インフラに対する投資や保守をする余裕がない企業には魅力的だろう。完全なDRサイトを用意する余裕はあるが、外部委託することで大幅な効率性とコスト削減が実現する、と考える企業にも訴求力があるかもしれない。遠隔地のデータコピーには、インターネットに接続した任意のデバイスや場所からアクセスできる。こうしたデータコピーは、地域で災害が発生した場合の予防手段となる。
幅広い保護
クラウドバックアップは、従来のオンプレミスバックアップでは対象にならないエンドポイントを保護する優れたオプションになり得る。ノートPCやタブレットなどがそうしたエンドポイントの例だ。また、クラウドリポジトリがテープ保管の必要性をなくす可能性もある。
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