「脱クラウド」「オンプレミス回帰」を失敗させない“2つの考慮点”:「脱クラウド」の要否【中編】
「脱クラウド」が必要だと判断したとしても、実際にクラウドサービスからオンプレミスのインフラにシステムを移行させるのは簡単ではない。脱クラウドを成功させるには、どのような点を考慮すればよいのだろうか。
いったんクラウドサービスへ移行させたシステムをオンプレミスのインフラへと回帰させる「脱クラウド」で考慮すべき点は、クラウドサービスへのシステム移行(以下、クラウド移行)時とは必ずしも同じではない。脱クラウドに踏み切る際、どのような点を考慮すればよいのだろうか。
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考慮点1.時期や必要な専門知識の見極め
「脱クラウドでまず考慮すべきは、プロジェクトの計画策定に伴う時間だ」と、コンサルティング会社Amalgam InsightsのCEO(最高経営責任者)を務めるヒョン・パク氏は指摘する。パク氏によると、さらにシステムを継続的かつ効果的に拡張させて、運用する時間も考慮に入れる必要がある。
オンプレミスのインフラで新たに扱う技術が、どのような専門知識を要するものかも考えなければならない。「経営陣は、そうしたスキルに追随するために必要なリソースや時間の価値と、その他のITに関する問題に取り組む時間の価値を比較検討する必要がある」とパク氏は語る。
考慮点2.移行ツールの評価
脱クラウドを決断したら、実行時期を検討するとともに移行時に使用する移行ツールの評価もしなければならない。
ITインフラ市場は、クラウド移行を促す動きが強まっており、さまざまな移行ツールやクラウドサービスとの連携を実現するツールが存在する。「そうしたツールは脱クラウドにも使用できる」と、コンサルティング会社Protivitiのランディ・アームキネクト氏は語る。例えば「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)が脱クラウドにおいて重要な役割を果たす可能性がある。「HCIがオンプレミスのインフラとクラウドサービスの間を接続し、シームレスなシステムの移行を実現できる可能性がある」と同氏は説明する。
大手クラウドベンダー各社は、オンプレミスのサーバやストレージをクラウドサービスのコンソールで管理するためのツールを発表している。クラウドベンダー各社は、こうしたツールの開発を「今後も続けるだろう」とアームキネクト氏は指摘する。Microsoftの「Azure Arc」や「Azure Stack」、Amazon Web Services(AWS)の「AWS Outposts」、Googleの「Anthos」などが、クラウドサービスのコンソールでオンプレミスのリソースを管理できる代表的なツールだ。
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