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ERP刷新までの“つなぎ”としてこそ「RPA」を使うべき理由「ERP」と「RPA」の賢い組み合わせ方【前編】

レガシー化したERP製品のアップグレードや移行を検討するには時間がかかる。刷新プロセスの途中段階で役立つ可能性があるのが「RPA」製品だ。どのように役立つのか。

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 「ERP」(統合業務)製品が担ってきたプロセスに、「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)製品を活用する動きが広がっている。専門家によると、RPA製品とERP製品を組み合わせれば業務のスピードと効率が向上し、ヒューマンエラーを減らすことができ、高い投資利益率を得ることができる。ただしRPA製品は、アップグレードの必要なERP製品の延命策にはならない。

ERP刷新の“つなぎ”に使えるRPA

 電子部品を販売するAvnetでエンタープライズエフェクティブネス担当バイスプレジデントを務めるステファン・マウラー氏は、100人のチームスタッフと共に自社業務の継続的な改善を推進している。中でもマウラー氏が注力する分野は、イノベーション、デジタル化、自動化だ。ERP製品がカバーするバックエンドプロセスの最適化を積極的に進め、RPA製品のソフトウェアロボットを使い、調達や販売、カスタマーサービス関連の幅広い作業を処理するようにした。

 「ソフトウェアで処理できる、付加価値の付けにくいサービスが多数あった」とマウラー氏は説明する。同氏のチームは、KofaxのRPA製品を利用して約70件のビジネスプロセスを自動化した。そのうち約85%はERP製品とやりとりするプロセスだったという。

 マウラー氏によると、RPA製品導入は約2年で利益をもたらした。人がしていた定型作業をRPA製品のソフトウェアロボットで処理することで時間を短縮し、ヒューマンエラーが減り、スタッフは付加価値の高い作業に専念できるようになった。

 「ERP製品には自動化できる作業が多数あり、最高情報責任者(CIO)や業務担当者がRPA製品を導入する強い動機になる」と専門家は話す。調査会社Forrester Researchのクレイグ・ルクレア氏は「ソフトウェアロボットで処理すると時間の節約になる、付加価値のない作業は確かに存在する」と話す。ルクレア氏は同社のバイスプレジデント兼アナリストで、ソフトウェアロボットに関する書籍『Invisible Robots in the Quiet of the Night: How AI and Automation Will Restructure the Workforce』の著者だ。

 ルクレア氏によると、請求、会計、注文など、これまでERP製品が担っていたプロセスをRPA製品で自動化すれば、従業員は時間のかかる定型作業から解放される。システム入れ替えの労力とコストと時間をかけずにモダナイズが可能になるのだ。

 「一度導入したERP製品の刷新は、設備投資とリソースの両面で大掛かりな変更が必要になり、簡単にはできない」。ITコンサルティング企業Saggezzaでビジネスアドバイザリーサービス担当シニアディレクターを務めるカピル・カロケ氏はこう語る。

 RPA製品による自動化は、ERP製品のレガシー要素に対処しながらアジリティとデジタル化を推進することにもなる。プロセスをモダナイズするとビジネスの迅速性が向上する。RPA製品を活用せずにそれを実現することは極めて難しく、ERP製品自体の大幅な刷新が必要になる。

 カロケ氏は「RPA製品は将来の状態を実現するまでのつなぎになる」と説明する。RPA製品を短期間だけ、経済的な暫定策として導入すれば、その間に企業の上層部はERP製品のアップグレードや他製品への移行を決断したり、その時期を決めたりすることができる。そうしたシナリオにおいて、RPA製品は「非常に効果的で効率的な解決策だ」(同氏)。


 後編は、レガシー化したERP製品の機能をRPA製品で補う際の、落とし穴を解説する。

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