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ストレージの「サブスクリプション」「従量課金」がオンプレミスでも広がる理由「OPEX」での導入に合理性

クラウドストレージの魅力の一つは、従量課金型の継続課金で導入できることだ。この料金体系は、いまやオンプレミス製品でも当たり前の選択肢になりつつある。

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 企業向けストレージ市場で、コストの考え方が変化している。背景にあるのは、インフラをサービスとして利用できるクラウドサービスの普及だ。データを社外に保存できることや初期コスト(TCO)の低さだけが、クラウドサービスのメリットではない。使用した分だけ支払う従量課金や、支払金額が一定の定額課金など、継続的な料金体系である「継続課金」を利用できることが、クラウドサービス普及の原動力となっている。

オンプレミスでも広がる「サブスクリプション」「従量課金」

 ストレージのクラウドサービスである「クラウドストレージ」の料金体系は、一般的には従量課金型の継続課金だ。従量課金型でも定額課金型でも、継続課金のコストは設備投資(CAPEX)ではなく運用経費(OPEX)として計上する。一般的には定額課金型の継続課金のことを「サブスクリプション」と呼ぶ。

 オンプレミス製品も買い切り型だけではなく、継続課金の選択肢が充実してきた。主要なストレージベンダーは、自社製品を継続課金で導入できるようにしている。それぞれの料金体系名は下記の通りだ。

  • Dell Technologiesの「Dell Technologies On Demand」
  • Hewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE GreenLake」
  • Lenovoの「Lenovo TruScale Infrastructure Services」
  • NetAppの「NetApp Keystone」
  • Pure Storageの「Pure as-a-Service」(旧「Evergreen Storage Service」)

 クラウドサービスを利用するのと同じように、オンプレミス製品のコストもOPEXとして計上できるようになりつつある。

 継続課金は新しいものではない。ハイパーコンバージドインフラ(HCI)ベンダーのNutanixは2018年に、HCIソフトウェアを従量課金型の継続課金で利用できるようにし始めた。継続課金が珍しい存在ではなくなる中、オンプレミスのストレージを継続課金で導入できるかどうかが、いっそう重視されつつある。HPEのCEO(最高経営責任者)、アントニオ・ネリ氏は、2022年までにほとんど全てのベンダー製品が継続課金で利用可能になるとみる。

 Dell Technologiesの会長兼CEO、マイケル・デル氏は、継続課金にどのくらいの企業が移行するか質問された際、どの料金体系を採用するかは「顧客自身だ」と語った。ただしデル氏によると、公共機関など一部の組織は、継続課金のようなOPEX型の料金体系を望んでいない。NutanixのCEOであるディラージ・パンディ氏は、Dell Technologiesが予想するよりも多くの組織が、ストレージを継続課金で導入する可能性があると指摘する。

 複数のクラウドサービスを組み合わせる「マルチクラウド」が広がる中、インフラ製品を継続課金で導入する動きは珍しくなくなっている。パンディ氏は「3年前には考えられなかったことだが、著名なグローバル企業が当社のソフトウェアを継続課金で導入している」と話す。クラウドサービスだけでなく、オンプレミス製品も継続課金に移行している

 電子決済サービスを手掛けるPayPalは、NetAppの大口顧客だ。PayPalのデータ分野を統括するスレイド・ウィーバー氏はNetApp Keystoneについて「非常に興味深いと感じた」と導入時を振り返る。継続課金によるIT製品の導入は「企業のIT部門にとって魅力的な選択肢になる」とウィーバー氏は話す。

 製品の所有者が自社なのか他社なのか、アプリケーションが稼働している場所が自社のデータセンターなのか、他社のデータセンターなのかは「問題ではない」とウィーバー氏は言い切る。「設置スペースや製品を借りる発想は理にかなっている」(同氏)

 メディア企業のMeredithは、Rubrikのバックアップシステムを5年契約の継続課金で導入した。Meredithのデータ保護分野を統括するマイケル・キエントフ氏によると、継続課金でIT製品を導入することは「財務面で利点があり、バックアップシステムを容易にアップグレードすることもできる」と語る。

 Meredithは導入から3年目にノードを追加導入して容量を増強した。「Rubrik製品の利用を5年間継続する間に、次世代技術が導入されてシステムが一新する」とキエントフ氏は語る。「古いシステムから新しいシステムへの移行は、われわれの問題ではなくRubrikの問題だ」(同氏)

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