男子校がZoom授業の出欠確認を「ワークフロー自動化」で実現 その仕組みとは:新型コロナと「AI」「自動化」の関係【前編】
オンライン授業に移行したオーストラリアの私立男子校、トリニティーグラマースクールは「ワークフロー自動化」ツールを使って学習者の出欠確認を自動化した。具体的な取り組みを同校担当者に聞いた。
オーストラリアの最大都市、シドニーの大部分が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のロックダウン(都市封鎖)に突入した2020年3月、キリスト教系の私立男子校Trinity Grammar School(トリニティーグラマースクール)も、オンライン授業への切り替えを迫られた。
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トリニティーグラマースクールは「Microsoft Teams」「Skype」「Zoom」などのコミュニケーションツールや学習管理システム(LMS)の「Canvas」を使ってオンライン授業に移行した。他に学習者の出欠確認のために導入したのが、ワークフロー自動化ツール(画面)だ。
出欠確認の自動化による効果
数年にわたり、トリニティーグラマースクールはNintexおよびその提携ITコンサルティング企業Synergy Corporate Technologiesを通じて、さまざまなプロセス自動化プロジェクトに、プロセス自動化ベンダーNintex Global(以下、Nintex)のサービスを利用している。このためロックダウン中の出欠確認にNintexのワークフロー自動化サービス「Nintex Workflow Cloud」を利用するのは「自然な流れだった」と、同校の情報通信技術担当責任者であるポール・クイーニー氏は振り返る。
クイーニー氏によれば、Nintex Workflow Cloudで構築したワークフローシステムは「ものすごくシンプル」だった。トリニティーグラマースクールは、授業がある日は午前8時25分にCanvasを介して学習者に通知を送信するようにした。この通知によって学習者にログインを促し、出欠を記録する流れだ。
学習者が送ってくる出席確認を、Microsoft製品で構築済みのデータベースに入力し、時間内にログインしなかった学習者を欠席として扱う。欠席した学習者の保護者には、自動でSMS(ショートメッセージサービス)のメッセージを送信するようにした。トリニティーグラマースクールは、このワークフロー自動化の仕組みを「非常に迅速に実装できた」とクイーニー氏は語る。構築には24時間もかからなかったという。
トリニティーグラマースクールが構築したワークフローシステムはシンプルだったが、限界もあった。学習者が出席しているかどうかを継続的にチェックできるプロセスがなかった点だ。理論的には、学習者が最初の30分間のうちに学習システムにログインして出席の回答をした後、ログアウトしてPCの電源を切ってしまうことができる状態だった。学習者にとっては1対1の授業を受ける機会も、教員にビデオ通話で質問する機会も逃すことになり、クラスの中で後れを取る可能性もある。
「実際にはほとんどそうしたことはなかった」とクイーニー氏は考えている。同校の大部分の学習者が、ロックダウン(都市封鎖)中も成績が良かったからだ。学習者は継続的に課題をこなし、オンライン授業によって学習の自由度が高まった恩恵を受けていたと考えられる。
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