医療AIからバイアスを排除 「フェデレーテッドラーニング」(連合学習)の臨床価値とは:「フェデレーテッドラーニング」が医療にもたらす可能性【後編】
「フェデレーテッドラーニング」(連合学習)を用いた共同研究は、従来医療AIモデル開発において障壁となっていた問題を解決する可能性がある。NVIDIAが協力した「EXAM」開発プロジェクトの事例から探る。
世界の医療機関20施設がGPU(グラフィックス処理プロセッサ)ベンダー大手のNVIDIAと協力して、「フェデレーテッドラーニング」(連合学習)のアプローチで人工知能(AI)モデルの「EXAM」(EMR Chest X-ray AI Model:「電子医療記録と胸部エックス線画像に基づくAIモデル」の意)を開発する開発プロジェクトを立ち上げた。EXAMは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に酸素投与が必要になるかどうかを正確に予測するのに役立つという。前編「『フェデレーテッドラーニング』(連合学習)が医療AI開発の在り方を変える?」に続く後編となる本稿は、EXAM開発プロジェクトの具体的な取り組みを紹介する。
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ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の放射線学教授フィオーナ・ギルバート氏と自身の研究チームは、プロジェクトに参加することを決めた時点で、AIモデルのトレーニングに使うCOVID-19患者のデータセットを既にまとめていた。ギルバート氏によると、英国のケンブリッジ地域ではCOVID-19の患者数があまり多くなかった。そのため同氏の所属機関にはEXAMのようなAIモデルをトレーニングするのに十分なデータセットがなかったという。だがフェデレーテッドラーニングを使ったEXAM開発プロジェクトに参加したことで、同氏と研究チームは自身の経験とデータを他の医療機関と共有できた上に、他の機関におけるAIモデルトレーニングの恩恵も受けることができた。
研究者が評価する、EXAM開発プロジェクトの価値
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