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“AutoML懐疑派”だった医療機関がAutoMLのヘビーユーザーになるまで医療におけるAutoMLの可能性【前編】

「AutoML」(自動機械学習)に懐疑的だった、米国の医療機関Symphony Care NetworkのCIOは現在、AutoMLツールの「DataRobot」を積極的に利用しているという。なぜ心変わりしたのか。同機関の利用事例を紹介する。

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 Symphony Care Networkは、急性期の治療やリハビリテーションを主軸とする米国の医療機関だ。同機関で医療情報コンサルタントを務めていたネイサン・テイラー氏は2016年、医療における「AutoML」(自動機械学習)ツールの利用に懐疑的な見解を持っていた。

AutoML懐疑派からヘビーユーザーへ

 機械学習モデルの設計や構築を自動化するAutoMLは、2020年でも依然として新しい技術であり、2016年頃は「不可解な存在」だったという。「時間のかかるプロセスを自動化し、機械学習モデルの構築や導入を促進できる」――。ベンダーのこうしたアピールは、AutoMLツールに「近寄り難い神秘的な雰囲気を与えていた」とテイラー氏は言う。

 AutoMLツールを導入すると機械学習モデルの作成が完全に自動化され、データサイエンティストが不要になると考える人がいる。テイラー氏は「そのようなことはあるはずがない」と考えていた。そのため、ある展示会でAutoMLベンダーDataRobotのブースに足を運ぶように同僚から勧められたとき、同氏はDataRobotの同名AutoMLツールに何を期待すればよいのか分からなかったという。

 2016年当時、テイラー氏はDataRobotに対して強い警戒心を持っていた。当時の同社は、創立4年目を迎えるAutoMLのスタートアップ(創業間もない企業)で、データサイエンティストの作業を正確に自動化することはないだろうと同氏は考えていた。

 前述の展示会の際、DataRobotは自社ブースで同社のAutoMLツールの特徴をアピールしていた。機械学習モデルの構築には人による入力を必要とするものの、データサイエンティストのわずかな作業で正確な機械学習モデルを迅速に構築できるというのが、同社の説明だった。テイラー氏はこれに感銘を受けたが、慎重な姿勢を崩すことはなかった。

 その後、Symphony Care NetworkがDataRobotと用途を共有すると、その3、4日後には機械学習モデルが完成して稼働していたという。テスト環境で2週間、この機械学習モデルを運用した後、Symphony Care Networkの技術チームが同社の経営陣にDataRobotを推薦したところ、経営陣からは好意的な反応が返ってきた。現在はSymphony Care Networkの最高情報責任者(CIO)を務めるテイラー氏は「その後はDataRobotを遠慮なく使用できた。DataRobotを使用しない理由はなかった」と語る。

 2016年にDataRobotを導入して以来、Symphony Care Networkは患者の転倒に関するデータを使用して再入院の発生率を予測するなど、さまざまな用途にDataRobotを活用している。「転倒した患者は、再度転倒する恐れが多い」ことを示す調査結果を受けて、テイラー氏と技術チームはDataRobotを使用して、特定患者の転倒可能性の予測に役立つ機械学習モデルを構築した。


 後編はAutoMLツールの具体的な活用事例と、AutoMLに対する現在の課題を解説する。

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