クラウドデータ保護「DPaaS」とは? 使い倒す方法は?:データ保護規制にも対処
バックアップやセキュリティ対策といったデータ保護のクラウドサービス「DPaaS」は、データ保護の運用効率化とデータ損失を防ぐ対策強化に有効だ。DPaaSを最大限に活用するヒントを紹介する。
データ保護の仕組みをクラウドサービス形式で提供するのが「DPaaS」(サービスとしてのデータ保護:Data Protection as a Service)だ。DPaaSを利用すると、企業はデータの一連の運用をクラウドインフラで実施し、簡単な操作だけでデータ保護の各種の機能を利用できるため、効率よくデータ保護の能力を高められる可能性がある。DPaaSを利用するメリットや、既存の業務にうまく取り入れる方法を紹介しよう。
DPaaSを使用するメリット
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業務では大量のデータが発生し、そのデータからはさまざまな知見が得られる。データの損失を防ぎ、必要に応じてデータを活用できる状態にする必要性は、企業規模の大小に関係なく高まっている。
アプリケーションごとに異なるデータ保護の方法を採用するよりも、データ保護に関連する作業を1つに集約する方が合理的だ。DPaaSは、データ保護に関連するさまざまな機能を提供する。例えば下記のような機能がある。
- データへのアクセス制御
- データの重複排除
- データの保管とバックアップ
- データのアーカイブ
- データのセキュリティ確保
- データのプライバシー保護
- 災害復旧(DR)
企業はEU(欧州連合)の「一般データ保護規則」(GDPR)や英国の「データ保護法」をはじめ、各種のデータ保護規制に対処しなければならない。DPaaSがデータ保護の各種規制を順守するための機能やサービスを備えている場合、監査やコンプライアンス(法令順守)の点でそのDPaaSを利用することは適切だと言える。データ保護の運用を一元化すれば、企業は自社のデータ保護に関する取り組みを説明しやすくなる。
DPaaSの利用を検討する際は、オンプレミスのストレージとDPaaSを併用することも選択肢になる。ミッションクリティカルなシステムの場合は、データ保護にオンプレミスのストレージを使用することが珍しくない。オンプレミスのストレージによるデータ保護と、DPaaSのハイブリッド構成からスタートすれば、DPaaSを中心としたデータ保護への投資を全面的に拡大すべきかどうか、適切に判断できるようになる。
DPaaSを最大限に活用する10のヒント
企業がDPaaSへの投資利益率(ROI)を最大限に高めるには、次の事項を検討するとよい。
- データ保護に関する自社の要件を整理し、データ保護に投資する重要性を確認する
- データのバックアップ、アーカイブ、レプリケーション(複製)など、自社が必要とするデータ保護の機能をまとめる
- 現在と将来の要件を踏まえて、既存のデータ保護の方法にDPaaSを加えることでどのようなメリットが得られるのかを確認する
- データのガバナンスやコンプライアンスにおける自社の要件を確認する。具体的には、DPaaSの利用によって順守すべき法規制や業界標準に応じられるかどうかを確認する
- データのバックアップとリストア(復旧)に関する現行の方法を確認し、DPaaSの導入によって最悪の事態からの復旧能力を強化できるかどうかを確認する
- DPaaSの段階的な導入の必要性を検討する。例えばまずは重要度の低いデータの保護に使用して、全面的に採用を拡大することを検討する
- 導入後はDPaaSによるデータ保護の機能を定期的にテストし、データ保護が適切に機能していることを確認する
- 利用するDPaaSの機能やリソースを増やす際は、自社のデータ保護のポリシーや業務プロセスを適切に更新する
- DPaaSを組み込んだ事業継続計画(BCP)とDR計画を作成する
- オンプレミスインフラ、マルチクラウド(複数のクラウドサービスの併用)、ハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスの併用)などの自社のインフラ構成に応じて、DPaaSの適用範囲を積極的に広げる
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などによる攻撃によって生じる重要なデータの損失は、自社の評判を落とすだけでなく、ビジネスの継続を左右する深刻な問題になる。DPaaSはデータ保護とビジネスの継続を、迅速に構築するための有効な選択肢になるだろう。
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