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RPAが人間よりも決定的に優れている理由スマート化するRPA【前編】

RPAはもはや人間の作業を模倣するだけの存在ではなくなった。むしろ人間よりも優れている面もある。RPAの適用方法を検討する上で、こうした優位点を考慮する必要がある。

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 RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は人間を反復作業から解放し、効率と精度を向上させる。RPAはアプリケーション間でデータを移動する必要がある場合に特に役立つ。

 RPAはさらに進化している。

 RPAにAIを組み込めば、柔軟性、回復力、スマートさが向上する可能性がある。RPAは請求書から総計を取り出し、その額が範囲内ならば人間にその請求書を送信する。AIはこれをさらに進化させ、予期しない変化に対応したり傾向を検出したりできるかもしれない。そうすれば人間に引き継がれる負荷が抑えられ、異常や欠陥の検出に役立つ。

 ソフトウェアサプライヤーは、ビジネスプロセスを合理化または改善する方法を学習したり、機能停止に適応したりできるシステムを予測している。最終的には、それが自律的に動作するERPやCRMにつながる可能性がある。

 RPAが最初に定着したのは、データの再入力が必要な金融サービス、電気通信、行政、医療などの業界だ。最近は製造や物流にも定着した。

 RPAは請求書の処理、サプライヤーの設定、人事、顧客サービスの一部など、ビジネス全体に共通するタスクにも役立つ。RPAにとって理想的なのは、予測可能で反復的なタスクだ。

 Gartnerの著名なアナリストであるキャシー・トーンボーム氏(バイスプレジデント)は次のように話す。「10年以上前のRPAはユーザーインタフェースを介してプロセスを自動化する方法の一つだった。RPAはあらゆる種類のシステムと相互作用できる『バベルフィッシュ』(訳注:ダグラス・アダムスの小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』に登場する万能翻訳魚)だ」

RPAに適したタスク

 RPAは、労働集約的な事務作業を自動化するというシンプルな前提から始まった。Forrester Researchのベルンハルト・シャフリク氏(主席アナリスト)は言う。「RPAはマウスクリックやキー入力など、ユーザーの操作を模倣することに始まり、今ではユーザーが手作業で行うことを自動化することにフォーカスしている」

 CIO(最高情報責任者)は、BPA(ビジネスプロセスオートメーション)の代わり、またはその一部としてRPAを利用する。BPAはアプリケーション間の接続に依存する。アプリケーション間の接続が不可能な場合、あるいはコストがかかり過ぎる場合、RPAは人間によるデータ入力の代替手段になる。

 「自動化やAIに投資する企業が解決しようとしている問題は、データの収集速度に分析が追い付かないことだ」と話すのは、Kofaxのクリス・ハフ氏(最高戦略責任者)だ。

 「『データのプール』には自動化に適したビジネスプロセスがある。構造化・標準化されたデータを含み、安定した環境でルールベースのプロセスを操作するビジネスプロセスがRPAの最有力候補だ」

 RPAをOCRや音声テキスト変換システムと連携させ、スキャン画像や音声ファイルを使って次のステップに処理を進めることも可能だ。こうした方法を使えばビジネスプロセスが高速化し、市場投入の時間が短縮される。

 さらに、RPAは人間が操作するよりもミスが起こりにくい。

 SAPのセバスチャン・シュローテル氏(インテリジェントRPAの責任者)は次のように語る。「RPAは人間に比べてエラー率が低い。人間には調子の悪い日がある。そういうときは仕事でミスが起きる。こうしたミスは自動化で削減できる。機械はいつでも自分の仕事をこなす。調子が悪い日はない」

 翻訳サービスおよびコンサルタント企業のRWSは、社内や顧客のプロジェクトでRPAを利用している。「当社は特定の顧客向け翻訳プロジェクトにRPAを使用している。ドキュメントが以前のプロジェクトのコンテンツを利用しているような、かなり複雑なプロジェクトだ」と話すのはジョージ・バラ氏(パートナーシップ部門バイスプレジデント)だ。

 「翻訳後のデータを複数のシステムに移動するRPAを構築している。RPAを使う企業で最も一般的なのは、プロセスやシステムを相互に結び付け、必要な場合のみ人間が操作するユースケースだ」

 RWSは請求処理にもRPAを使っている。例えばドイツ支社の請求書からデータを取り出し、関連情報を抽出して英語に翻訳する。請求書全体を翻訳する必要はない。

 「生産性の問題だ。RPAは反復的で生産性の低い仕事に費やす時間を最小限に抑える。ロボットが代行できる仕事に時間を費やす必要はない。顧客からのメールを全て読むのに100人の人間が必要でも、ロボットなら1台で可能だ」(バラ氏)

後編では、RPAの限界と次世代RPA、そしてRPAの潜在的なリスクについて解説する。

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