生花販売大手が「CX」向上のために“大手ベンダー依存”をやめた理由:米国3社の事例に学ぶパンデミック後のCX【前編】
新型コロナウイルス感染症の影響でEコマースの需要が高まる中、生花販売大手のFTDは商機を生かすべく、CXのためのシステムを刷新した。そこで同社が選んだ方針が、大手ベンダー製品からの脱却だった。その意図とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)で、大企業のカスタマーエクスペリエンス(CX)責任者は、CXのためのプロセスとそれに必要なツール群を急きょ導入せざるを得なくなった。その結果、Eコマースが顧客にもたらす利便性が高まり、収益面においてもデジタル事業の重要性が無視できないものになった。
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パンデミックが始まるまでは、Eコマースの利用は一部に限られていた。ITリテラシーの高い消費者は以前からEコマースを利用していた。パンデミックで初めてネットスーパーやオンライン決済システムを利用して、その便利さを知った消費者も少なくない。
調査会社Forrester Researchのアナリストであるケイト・レゲット氏は「消費者行動はパンデミックで変わった」と語り、デジタルエンゲージメントは定着するとみる。「結局はデジタルの方が簡単であり、消費者の時間も尊重される」とレゲット氏は語る。同氏は、パンデミック中の制限が解消しても企業はデジタルCXツールへの投資を継続すると予測し、2019年の状態に戻ることはないと述べる。
本連載は全米規模の生花販売大手FTDと小売チェーンのGiant Eagle、家具・日用品のEコマースOverstock.comの事例を紹介する。
生花販売大手はなぜ大手ベンダーと“決別”したのか
生花のEコマースサイト「ProFlowers.com」を運営するFTDは、地域の生花店と提携し、花束、鉢植え、関連商品などの当日配達を提供している。同社は2019年に破産申請し、未公開株式投資会社Nexus Capital Managementに売却された。破産から再生したときにはCOVID-19のパンデミックが始まり、小売業界は壊滅的な打撃を受けていた。その上、消費者はスーパーマーケット以外ではほとんど花を買わなくなっていた。
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