聖マリアンナ医科大学がコロナ禍で「iPad」を導入した“納得の理由”:医療ITニュースフラッシュ
「iPad」を導入した聖マリアンナ医科大学の取り組みや地域医療連携のために「コマンドセンター」を導入した草津総合病院の事例など、医療ITに関する主要なニュースを紹介する。
医療システムのデータを一元的に可視化するコマンドセンターや内視鏡手術支援ロボットの導入事例など、医療ITに関する主要なニュースを6本紹介する。
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画像解析技術の活用
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医療機関のセキュリティ対策
大分大学医学部附属病院がCisco製品で院内ネットワークを刷新 運用を効率化
電子カルテをはじめとした院内システムのネットワークとして、ネットワーク管理ソフトウェア「Cisco DNA Center」やネットワークスイッチ「Cisco Catalyst 9000」シリーズ、セキュリティ対策アプライアンス「Cisco Identity Service Engine」(ISE)などのCisco Systems製品を採用した。同院ではデジタル化の推進に伴い、院内ネットワークに接続する端末が増加。それらのセキュリティや院内ネットワークの安定性確保が医療現場の負担となっていた。ネットワークの一元管理と可視化がしやすく、負担を抑えつつネットワーク障害を未然に防ぐ仕組みを実現しやすいと判断し、Cisco製品を選定した。(発表:シスコシステムズ<2021年5月10日>)
聖マリアンナ医科大学が新型コロナ対策に「iPad」を導入 その理由とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を受け入れている同院は、感染症予防のため医療従事者の業務以外の会話や休憩中の会話を制限している。医療従事者同士の非対面のコミュニケーションや、リモート面会用の端末として利用するために「iPad」とiPad用MDM(モバイルデバイス管理)製品「Jamf Pro」を複数の系列医療機関に導入した。セキュリティポリシーを満たすために、Jamf Proを使って60台のiPadを「共有iPad」として設定。加えてユーザー名やパスワードを使用せずに誰でもログイン可能な「ゲストモード」を適用し、医療従事者がログアウトすると端末内のログイン履歴や閲覧履歴などのデータを自動で削除するようにした。同院はJamf Proについて、iPadをリモートで設定できる点や、拠点や部署ごとに端末をグループ化して、容易に設定できる点を評価した。(発表:Jamf Japan<2021年5月10日>)
「コマンドセンター」を草津総合病院が導入 地域医療連携に活用
コマンドセンターは、患者の状態や医療従事者の配置状況などの情報をリアルタイムで分析・可視化するシステムだ。電子カルテをはじめとする各種院内情報システムで別々に管理されているデータを取得して一元管理する。業務に必要な情報の共有や確認にかかる時間を短縮する。同院は複数の法人や施設と連携し、患者の発症期間や状態に応じた医療サービスを提供する地域医療連携の取り組みを進めている。コマンドセンターの導入によって各医療機関の現在または将来の空床状態や入退院情報を素早く把握し、適切な転棟や転院を実施しやすくする。まずは同院と系列の淡海ふれあい病院がコマンドセンターを導入し、運用方法を検証した後に他の連携医療機関への導入を進める。GEヘルスケア・ジャパンがコマンドセンターを構築した。(発表:GEヘルスケア・ジャパン<2021年4月15日>)
横浜市立大学附属市民総合医療センターが「da Vinci Xi」を2台導入した理由
患者の入院期間を短縮し、QOL(生活の質:Quality of Life)を向上させることを目的として、手術室の増設を機に導入した。da Vinci XiはIntuitive Surgicalが販売する内視鏡手術支援ロボットだ。da Vinci Xiを使うと、術者は立体的な3次元(3D)の高精細度映像で患部を確認しながら、3本のロボットアームを使って手術できる。da Vinci Xiの導入に当たっては、出血量や傷口の拡大を抑えた低侵襲の手術を可能にする点を評価した。2台同時に導入することで、手術の待ち時間の短縮につなげる他、ロボット手術が可能な医師を育成するための教育にも生かしやすくする。2021年5月中旬に消化器病センターと泌尿器科で利用を開始し、順次対象疾患(診療科)を拡充させる。(発表:横浜市立大学<2021年5月13日>)
医用画像システム市場で急速に導入が進む製品とは? 矢野経済が予測
矢野経済研究所は医用画像情報システム(PACS)や放射線情報システム(RIS)といった医用画像関連システムの2019年度の市場規模を567億5300万円と推計した。2020年から2021年にかけては、消費増税の駆け込み需要の反動減やCOVID-19拡大の影響などが市場縮小の要因になると予測する。同社は医用画像関連システム市場のうち急成長する市場として、線量管理システムを挙げる。診療報酬の施設基準として加算されるようになったことや、厚生労働省が医療被ばく防止のために放射線使用時の線量の記録や医療従事者向けの研修などを義務化する方針を示したことから導入が進んだという。同社は2021年以降も数年をかけて医療機関の線量管理システムの導入が進むと予想する。(発表:矢野経済研究所<2021年4月26日>)
CT画像でCOVID-19肺炎の診断を支援 富士フイルムが新ソフトウェア
新たに販売する「COVID-19肺炎画像解析プログラム」は胸部CT(コンピュータ断層撮影)画像を自動解析し、COVID-19肺炎患者に見られる特徴的な影が含まれていたときに、該当の箇所をマーキングし、COVID-19肺炎の特徴を有する可能性を3段階で提示する。医用画像の3D解析ソフトウェア「SYNAPSE VINCENT」との併用が前提だ。医療機関は患者がCOVID-19に感染しているかどうかを確認するために、PCR検査や抗原検査を補完する目的で胸部CT検査を実施する場合がある。COVID-19肺炎画像解析プログラムはこうした画像診断における医師の負担を軽減する。(発表:富士フイルムホールディングス<2021年6月10日>)
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