医療機関はITをどう活用できるのか
画像診断に「機械学習」が役立つ理由 5分で見るべき画像数が250枚から20枚に
ある医療IT専門家は、音声認識と機械学習が医療業界に重要な影響を与える技術になると予測する。その理由とは。
米国のがん研究施設Beth Israel Deaconess Medical Centerで開催されたイベントで、医療IT専門家のジョン・ハラムカ氏は医療関係者や学生、医療起業家に対して医療ITの未来について話した。ハラムカ氏は、Harvard Medical School(ハーバード大学医学部)教授、救急実務医などのさまざまなキャリアを持つ。
ハラムカ氏はジョージ・W・ブッシュ政権とバラク・オバマ政権の両方での医療IT戦略担当者を経て、現在はBeth Israel Deaconess Medical Centerを含む医療グループBeth Israel Lahey Healthの取締役として、医療イノベーション(技術革新)に取り組んでいる。
講演の中でハラムカ氏は、医療機関がコンピュータへの入力手段をキーボードから音声認識にどのように移行するかについて話した。音声認識や機械学習は、医療ITにイノベーションを起こす可能性がある技術の一つだ。
対話機能を使用してユーザーを助ける音声アシスタントは、多くの患者にとって有用だ。音声アシスタントは、錠剤を次にいつ服用するかを患者に伝えたり、患者が訴える症状に基づいて適切な医療機関の連絡先情報を提供したりするなどの基本的なタスクを実行できる。
音声認識技術は患者だけを対象とするものではない。電子医療記録の記入は「医師にとって作業負荷が高い」とハラムカ氏は述べる。そのため同氏は、音声で電子医療記録を入力するための製品を開発するスタートアップ(創業間もない企業)に注目している。こうした製品は、診療での患者と医師の会話内容を自動的に電子医療記録に入力し、医師が後で編集できるようにする。このようなスタートアップには、Nuance CommunicationsやSuki AIなどが挙げられる。
機械学習は画像診断の場でどう役に立つのか
ハラムカ氏が注目するもう一つの技術は機械学習だ。同氏は医療における機械学習は、人間の医師に代わる存在ではないことを指摘する。機械学習は、臨床医の作業を補助し、臨床医の従来の過酷な作業負荷を下げることを可能にする。
例えば放射線科医が見なければならない患者ごとのCT(コンピュータ断層撮影)スキャン画像の数が、指数関数的に増加しつつあるとハラムカ氏は言う。このようなケースで機械学習が役に立つ。放射線科医は5分間で250枚の画像を見る必要が生じることもあったが、機械学習を利用した画像認識システムは20枚の画像から患者の異常を指摘できる。
医療機関ではどのような取り組みが進んでいるのか
医療IT分野の多くの医学生、医療従事者、起業家が、ハラムカ氏による将来の医療ITに関するトークに参加した。聴衆の中には、Beth Israel Deaconess Medical Centerの医療スタッフであるティム・ソットマン氏がいた。「医療ITのイノベーションに常に関心がある」と言うソットマン氏は、人が医療分野で働き、運営する方法を改善できるプロジェクトに参加している。
「今後数年の間に登場するであろう医療IT技術に、非常に大きな期待をしている」とソットマン氏は言う。特に放射線医学において、人工知能(AI)技術が非常に短期間で導入されたことは「本当に印象的だった」と振り返る。
ソットマン氏は病院での医療ITの革新が急速に進んでいるのを目の当たりにしたと言う。同氏によると、ある病院の放射線科では、肺炎のレントゲン画像をAI技術で分類する放射線科のプロジェクトや、子どもの骨年齢に関するプロジェクトがあった。
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