旅行サービス業が「AWS」採用 決め手はAmazon系ならではの“あの経験”:オンライン予約サービスのインフラにAWSを採用するTravelport
オンライン旅行予約サービスを手掛けるTravelportは、オンライン旅行予約システムの性能と拡張性を強化するためにAWSを採用している。AWSを採用した理由とは。
旅行関連のITサービスを手掛けるTravelportは、Amazon Web Services(AWS)を自社の優先クラウドパートナーに指名した。AWSの同名クラウドサービス群を利用して自社サービスの動作速度や拡張性といったパフォーマンスを強化する。
AWSへの移行対象は、「Travelport+」という旅行販売マーケットプレースサービスのシステムだ。例えば旅行代理店がTravelport+を使うと、航空会社やホテル事業者、レンタカー会社、鉄道会社などの旅行関連サービスをまとめて、パッケージとして旅行客に提案しやすくなる。
Travelportが「AWS」の採用を決めた、AWSの「会社としての特徴」
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「AWSは小売り分野の経験があり、かつ他の旅行関連企業との協力経験がある。そのため旅行小売市場で画期的なイノベーションを実現するためのパートナーとして適している」。TravelportのCEOであるグレッグ・ウェブ氏は、Eコマース大手Amazon.comの子会社であるAWSを優先クラウドパートナーに選んだ理由をこう語る。
ウェブ氏によると、旅行業界は小売業を取り巻くITの変化に追い付くのに苦労している。Travelportは、変化に合わせてシステム更新できるようにTravelport+を設計した。Travelport はAWSを使い、旅行小売業の複雑なシステムを簡素化することを目指しているという。
AWSを採用したもう一つの理由として、ウェブ氏は「インフラを世界中に展開していること」を挙げる。Travelport+のデータ転送速度を速め、ユーザーの待機時間を短縮するために、Travelportは世界中にあるAWSのデータセンターと接続ハブを利用し、Travelport+のデータをエッジ(データの発生源)でキャッシュすることも計画しているという。
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やストレージ、セキュリティ、分析、機械学習、データベースなどのAWSの技術を利用して、よりパーソナライズした旅行予約体験をこれまで以上に迅速かつ簡単に提供する――。AWSのニュースリリースの中でTravelportはこう述べている。TravelportとAWSは、旅行市場への新規参入を目指すスタートアップ(創業間もない企業)向けに、事業支援プログラムの立ち上げも発表している。
主力サービスであるTravelport+のシステムをAWSに移行させるというTravelportの決断は「顧客ファーストへの同社の取り組みを証明している」と、AWSの新CEO、アダム・セリプスキー氏は言う。「AWSの多岐にわたるクラウドサービスと、世界中のデータセンターを活用することで、Travelportは旅行予約体験を快適にするための新しい方法を開発し続けることができる」とセリプスキー氏は話す。
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