仮想マシン(VM)を1時間動かすために必要なメモリ、プロセッサのコストは?:「VM」のコストを算出する方法【第3回】
IT部門がVMの稼働に必要なコストを見積もる場合、どのような計算をすればよいのか。VMを動かす物理サーバのリソースに注目し、適切な計算方法を説明する。
第1回「仮想マシン(VM)の『固定費』『変動費』とは? 総コスト見積もりの第一歩」と第2回「仮想マシン(VM)コストを左右する『メモリ』『プロセッサ』使用量の計算方法」で、仮想マシン(VM)のインフラの用意にかかる合計コストと、VMを動かす物理サーバ1台に割り当て可能なリソース量が分かった。これらの数値から、リソースの1カ月当たり、または時間当たりのコストの計算を試みることが可能だ。
VMを1時間動かすために必要なハードウェアコストは?
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VMのコストを考える
まずこの物理サーバを1カ月当たり何時間利用するかを判断する。一般的には、物理サーバは1日当たり24時間、1カ月当たり31日間稼働させることになる。従って標準稼働時間は1カ月当たり744時間だ。この物理サーバで稼働させるVMの総数も決める。本稿は、最大200個のVMを利用すると仮定する。ここでメモリとプロセッサに割り当てる予算の割合を決定する。ハードウェア予算の70%をメモリに、30%をプロセッサに割り当てるのが一般的だ。この割合の合計は100%にならなければならない。
まずメモリのコストを計算する。物理サーバコスト14万ドルを3年で回収する必要があり、コストの70%を利用可能なメモリ1万2794.88GB分が占めるとする。つまり3年間のメモリコスト(1GB当たり)は、(14万ドル÷1万2794.88GB)×0.7になる。これは、3年間で1GB当たり約7.65931ドル、1年間で1GB当たり約2.55310ドル、1カ月で1GB当たり約0.212759ドル、1時間で1GB当たり約0.000285966ドル(約0.212759ドル÷744時間)に相当する。
次にプロセッサのコストを計算する。物理サーバコスト14万ドルを3年間で回収する必要があるのは変わらない。残りの30%を割り当て可能なプロセッサ21.896GHzが占める。つまり3年間のプロセッサのコスト(1GHz当たり)は(14万ドル÷21.896GHz)×0.3になる。これは3年間で1GHz当たり約1918.16ドル、1年間で1GHz当たり約639.386ドル、1カ月で1GHz当たり約53.2822ドル、1時間で1GHz当たり約0.0716158ドル(約53.2822ドル÷744時間/月)に相当する。
次はストレージだ。ここでは512TBのストレージアレイの価格2万ドルを3年間で回収しなければならない。つまり3年間のストレージコスト(1TB当たり)は2万ドル÷512TBになる。これは、3年間で1TB当たり39.0625ドル、1年間で1TB当たり約13.0208ドル、1カ月で1TB当たり約1.08507ドル、1時間で1TB当たり約0.00145843ドル(約1.08507ドル÷744時間/月)に相当する。
以下の表は、メモリとプロセッサ、ストレージのコストの内訳を表す。
リソース | 物理サーバ全体に対するコストの割合(%) | リソース量 | ライフサイクル(3年)コスト | 年間コスト | 月次コスト | 毎時コスト |
---|---|---|---|---|---|---|
メモリ | 70% | 1万2794.88GB | 約7.65931ドル/GB | 約2.55310ドル/GB | 約0.212759ドル/GB | 約0.000285966ドル/GB |
プロセッサ | 30% | 21.9GHz | 約1918.16ドル/GHz | 約639.386ドル/GHz | 約53.2822ドル/GHz | 約0.0716158ドル/GHz |
ストレージ | 100% | 512TB | 39.0625ドル/TB | 約13.0208ドル/TB | 約1.08507ドル/TB | 約0.00145843ドル/TB |
次回はVMのコストを見積る際の注意点を説明する。
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