ナイキやアディダスも超えた あのスポーツ系通販がコロナ禍で急成長した理由:在宅エクササイズ需要拡大に適応
2020年、英国でスポーツおよびアウトドア用品のオンライン売上高でトップとなった小売業者はArgosだったことが、ある調査で明らかになった。大手の競合を抑えて同社がトップに立った理由とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大がピークに達していた2020年、英国でスポーツおよびアウトドア用品のオンライン売上高でトップとなった企業は、Argosだったことが、Wette.deの調査により明らかになった。Argosは、もともとはカタログ通販事業者として知られていた企業だ。
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スポーツベッティング(スポーツの結果を予想して賭ける行為)のポータルサイトを運営するWette.deによれば、2020年の1年間に、Argosが英国のEコマース部門で稼ぎ出したスポーツおよびアウトドア用品の純売上高は5億4100万ドルに達した。これはスポーツ用品のオンライン小売りSportsDirect.com Retailやスポーツ用品メーカーNike(ナイキ)、Adidas(アディダス)など大手企業を上回る数字だ。
Argosは、2020年の英国におけるスポーツおよびアウトドア用品のオンライン販売で、Amazon.co.ukをも超える実績を記録した。Wette.deによれば、Amazon.co.ukの同分野のオンライン純売上高は、3億6700万ドルだった。
2020年は、Eコマースが活況を呈した1年となった。中でもスポーツおよびアウトドア用品のセグメントは「特に大きく成長した分野だった」と、Wette.deの編集者レックス・パスカル氏は指摘する。
パスカル氏によれば、Argosはパンデミック(感染症の拡大)が始まるかなり前から、Eコマースの世界で大きなプレゼンスを築いてきた。「2020年のロックダウン(都市封鎖)中にそれが多いに役立った」(同氏)
パンデミックが始まって間もない時期に、消費者はロックダウンによって家に引きこもる生活を強いられた。その後、人々が主に家で過ごす生活に慣れる中で、さまざまな市場でオンライン販売が活況を呈した。
小売業者は総じて、2020年にオンライン販売に対する需要の高まりに直面した。これらの企業の業績と需要の急増への適応力を左右したのは、コロナ禍前からのオンライン販売基盤の有無だった。
パンデミックは比較的小規模な企業や、高級品や家電製品などを取り扱う一部の業種の小売企業には有利に働いた。その一方で、衣料品のようにコロナ禍のあおりをまともに受けた市場もあった。ロックダウンによりスポーツジムが営業を停止し、人々が在宅勤務などのテレワークを強いられる中、2020年には自宅でのエクササイズに適したスポーツ用品の人気が高まった。Wette.deによれば、2020年の英国におけるスポーツおよびアウトドア関係のオンライン販売業者の売上高は、上位10社で計26億7000万ドルに達した。
2020年の英国におけるスポーツおよびアウトドア用品のオンライン売上高では、前述の通りArgosが首位の座を獲得した。同社を追いかけるSportsDirect.com Retailは、同市場で4億2300万ドルの純売上高を記録し、2位となった。Nikeは4億400万ドルで3位に入り、それに続く4位のAmazon.co.ukは3億6700万ドル、5位のAdidasは2億4200万ドルだった。
トップ10ランキングでこれらの上位集団に続く位置には、Argosと同様に、これまでスポーツおよびアウトドア用品の販売業者としては広く認識されていなかった小売企業が並んだ。6位に入ったファッション関連のオンライン小売企業Shop Direct Home Shopping(Very Groupの名称で事業展開)は、スポーツおよびアウトドア用品のオンライン純売上高が1億9200万ドルに達し、スーパーマーケットのTesco Stores(1億5200万ドル)、スポーツ用品小売りのHalfords(1億4600万ドル)がそれに続いた。百貨店チェーンJohn Lewisは、2020年にスポーツおよびアウトドア用品分野で1億600万ドルのオンライン純売上高を上げて9位に入り、スポーツ用品小売りJD Sports Fashionが1億ドルで10位だった。
消費者の購買行動がこの数年間でオンラインへとシフトしたのは間違いない。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が拡大する前から、消費者の実店舗への関心は減退傾向にあり、ITがこうした変化に適応するための切り札になるとみられていた。コロナ禍がこの変化をさらに加速させる中で、小売業者が売り上げを伸ばす手段として、ITを活用する傾向はますます高まっている。
人々の間で新しい日常生活の様式が定着してきていることから、こうした購買習慣の変化は、パンデミックが収まった以降も続くと考えられる。
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