“コロナ離職”を本気で防ぎたいなら「女性の“仕事への不安”」に向き合うべし:コロナ禍の雇用不安を乗り越えるには
コロナ禍の影響で生じた離職リスクに歯止めをかけるために、企業はさまざまなアプローチを試している。こうした中、雇用主は女性の職場復帰を図ることが重要だとGartnerは指摘する。その理由は。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は労働力に対する新たなリスクをもたらしている。人事に関するトレンドの筆頭は、女性労働者を取り巻く状況にある。
米国ではパンデミックによって女性の雇用危機が生じた。その理由としては、接客業といった業務短縮を余儀なくされた業界で従事していたこと、保育園や学校で生じた混乱によって女性が育児を優先せざるを得ない状況に直面したことなど、さまざまな課題が挙げられる。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board of Governors)のメンバーであるミシェル・ボーマン氏は、2021年10月19日(現地時間)のシンポジウム「Women in Banking Symposium」で、「パンデミックが起きる前と比べて、米国の女性労働力人口は約200万人減少した」と語った。
“コロナ離職”の深刻化につながる「女性が抱く“仕事への不安”」
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「女性は自身のキャリアの優先順位を下げてでも退職を選んでいる」。2021年11月上旬、調査会社Gartner主催のオンラインカンファレンス「Gartner ReimagineHR Conference 2021」で、同社アナリストのケイティー・サザーランド氏はこう述べた。これは採用活動だけで解決できる問題ではなく、女性のニーズに合わせて仕事内容を改める必要があるとサザーランド氏は主張する。「女性は自身で予定を管理して、週5日出社しないという理由で昇進対象から外れないことを望んでいる。上司はチームメンバーがオフィスで仕事をしているかどうかに関係なく、公平に業績を評価しなければならない」(同氏)
テレワークは離職に歯止めをかける「特効薬」か
雇用主が人事に関して直面しているもう一つのトレンドは、従業員にテレワークの選択肢を提示しない場合に離職率が高くなることだ。「従業員はより柔軟な選択肢と各自のキャリアアップにつながるキャリア形成の機会を求めている」と、Gartnerのアナリストであるグラハム・ウォーラー氏は語る。
現場作業者に働き方の選択肢を提供する意義
家電量販店などの小売店で働く現場作業者も「働き方を選択する権利がある」とウォーラー氏は話す。倉庫や小売店が複数ある場合、雇用主は異なる場所で働く選択肢を従業員に提示できる。ウォーラー氏によると製造業の中には、就業機会に関する情報を従業員に公開し、透明性を確保している企業がある。
「雇用主は、従業員により幅広い働き方の選択肢を提示することで現状に適応している」。Gartnerのアナリストであるビットリオ・ブレタス氏は、Gartner ReimagineHR Conference 2021の場でこう話した。
テレワークが給与に与える影響について、ブレタス氏は「低所得地域に転居した従業員の給与を引き下げている企業もあるが、ほとんどの企業は従業員の給与を変えていない」と指摘。給与の扱いについては「正しい方法も、間違った方法もない」と同氏は話す。
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