「NVMe接続SSD」の“PCIe 5.0移行”を前提にしたKIOXIA 数年後を先取り:法人向けSSDへのキオクシアの一手【前編】
キオクシアはインタフェースに「PCIe 5.0」、フォームファクタに「EDSFF E3.S」を採用したSSDを開発した。法人向けSSD市場に与える変化とは。
キオクシアが法人向けのNVMe(Non-Volatile Memory Express)接続SSD「KIOXIA CD7 E3.S」(写真)を発表した。KIOXIA CD7 E3.Sの大きな特徴は、法人向けSSDの新フォームファクタ「EDSFF E3.S」(EDSFF:Enterprise and Data Center SSD Form Factor)と、ストレージインタフェース規格「PCI express 5.0」(以下、PCIe 5.0)を採用した点だ。これによって何が変わるのか。具体的に見てみよう。
NVMe接続SSDは「PCIe 4.0」から「PCIe 5.0」に移行
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KIOXIA CD7 E3.Sは、キオクシアの3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS Flash」の第4世代の技術と、専用のストレージコントローラーおよびファームウェアを使用する。同社によると、KIOXIA CD7 E3.SはPCIeの4レーン(レーン:データの通り道)を備えており、そのうち2レーンがPCIe 5.0用、残りはGPU(グラフィックス処理装置)やプログラム可能な集積回路FPGA(Field-Programmable Gate Array)など他のPCIe接続デバイス用となる。
キオクシアによれば、KIOXIA CD7 E3.Sの主な特徴は以下の通り。
- データ読み取りの最大転送速度:毎秒6450MB
- ランダムアクセスによる読み取りの最大IOPS(1秒当たりの処理数):105万IOPS
- 読み取り時のレイテンシ:75マイクロ秒
- 書き込み時のレイテンシ:14マイクロ秒
「企業のデータセンターでは、SSDをプライマリーストレージとして利用する機会が増えている」と、調査会社Coughlin Associatesのプレジデント、トム・カフリン氏は話す。SSDにデータを保存する容量は他のストレージより比較的少ない状況だが、一方で運用データには高速なデータ読み書きが必要になる。そのためカフリン氏は「データ読み書きの高速化が可能なNVMe接続SSDには確実な成長機会がある」と指摘する。
NVMe接続SSDは、2021年11月時点ではPCIe 4.0が主要ストレージインタフェースだ。だが「数年後にはPCIe 5.0がその役割を代替する」とカフリン氏は予測する。こうした見通しがある中で、キオクシアは早い段階でPCIe 5.0に移行する体制を整えた。「同社はPCIe 5.0の市場で良い立ち位置を確保できるはずだ」と同氏は言う。
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