“パスワードのいらない世界”の実現には「マルチベンダー」が現実的な理由:パスワードレス化への道のり【第3回】
アナリストによると、企業がパスワードレス認証を実装するには、単一ベンダーではなく複数ベンダーの製品を採用する方が適切だ。その理由と、具体的に活用できるツールを紹介する。
パスワードを使わない認証「パスワードレス認証」を採用する際、企業が考慮すべき4つのポイントを紹介する本連載。1つ目を紹介した第1回「“パスワードのいらない世界”への道 『パスワードレス認証』の第一歩とは」、2つ目と3つ目を紹介した第2回「“パスワードのいらない世界”実現に『ゼロトラスト』『行動生体認証』が役立つ理由」に続く本稿は、4つ目のポイントを紹介する。
ポイント4.複数ベンダーの製品を導入する
パスワードレス認証は登場からまだ日が浅い。「パスワードレス認証を実現する製品が市場に出回りつつあるが、それらはまだ比較的新しい」と、調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるショーン・ライアン氏は説明する。
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今のところ、あらゆるパスワードレス認証の利用シーンで使える製品を提供できているベンダーはほとんどない。1つの利用方法でのみパスワードレス認証が必要な企業ならば、特定のベンダー1社の製品を導入すればよい場合がある。例として、主に「Windows」デバイスを使っている企業であれば、顔認証機能「Windows Hello for Business」を導入すれば済む。だがWindowsデバイスと「macOS」デバイスを利用している場合のように、複数のデバイスやアプリケーションでパスワードレス認証が必要な企業は、単一ベンダーの製品・機能に絞ることは必ずしも適切ではない。
幅広い利用方法でパスワードレス認証が必要な企業は、複数ベンダーの製品を導入する「マルチベンダー」が現実的だ。全てのパスワードレス認証の用途で利用可能な製品を1社のベンダーが提供できる日が来るとしても、すぐにそうはならないだろう。
しばらくの間、パスワードレス認証を実現する製品が乱立すると考えられる。「ベンダーはさまざまな実験をして、多種多様な認証方法を試すはずだ」とライアン氏は推測する。現在の有力な選択肢としては、パスワードレス認証を専門に取り扱うベンダーの製品に加え、ID管理ベンダーが提供しているパスワードレス認証機能がある。
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