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クレジットカード会社が「AI」と距離を置きたくなる“説明責任”問題金融業界のAI活用に立ちふさがる課題【中編】

金融業界の企業がAIツールの導入を進める際に、対処が必要なのが「説明責任」に関する課題だ。クレジットカード会社を例に、具体的に見ていこう。

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 金融事業者Capital One Financialのクレイ・ジャクソン氏は、金融業界での人工知能(AI)技術活用に関するカンファレンス「Ai4 2022 Finance Summit」のパネルディスカッションに登壇。AI技術を取り入れたツール(AIツール)が金融業界の企業にもたらす課題を指摘した。それは「説明責任」だ。

クレジットカード会社は“あの理由”をAIで説明できるのか

 Capital Oneで中小企業向けクレジットカードの製品管理担当バイスプレジデントを務めるジャクソン氏の言葉を借りれば、クレジットカード会社は「顧客の生活を左右する難しい立場」に置かれている。クレジットカード会社の判断によって、消費者が葬儀費用を支払えなくなったり、就職できなくなったりといった状況を生み出しかねない。

 クレジットカード会社が、クレジットカード利用の申し込みを許容することを信用供与(与信)という。与信を拒否する場合、クレジットカード会社はその理由を消費者に明示する義務がある。クレジットカード会社がAIツールを活用するのであれば、説明責任を果たせる根拠をAIツールが提供できなければならない。「説明責任の問題は、われわれの行動速度を低下させる。だがそのような遅れは正当なものだ」とジャクソン氏は話す。

 前述のパネルディスカッションにおいて、クレジットカードブランドAmerican Expressのリック・バルマン氏は、金融業界でAIツールが引き起こす恐れのあるプライバシーと先入観の問題を指摘した。バルマン氏は同社でエンジニアリング、データインテリジェンス、カスタマーエクスペリエンスの担当バイスプレジデントを務める。

 「銀行や金融機関は、消費者の現状の支出に基づいて融資することは可能だ。だが融資は義務ではない」とバルマン氏は述べる。同氏は融資の判断が「『行き過ぎた顧客応対』と『優良な顧客応対』の境界を見極めることに似ている」と言う。「可能なことが正解だとは限らない。顧客にとって適切に応対することが重要だ」と同氏は補足する。

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