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“HDD不要論”をなくす「20TBのHDD」の衝撃専門家が語る「HDDの運命」【第1回】

HDDは容量を増やし、SSDより低い容量単価を維持している。だが、SSDも着実に広まりつつある。HDDの役割はどうなるのか。業界関係者やアナリストに「HDDの運命」を聞いた。

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 HDDが消滅することはないと、アナリストやベンダーは語る。HDDは不揮発性(電力を失ってもデータ保存を維持する特性)の記憶装置として1950年代に登場し、現代でも広く支持を得ている。しかし、SSDをはじめとした他のストレージの進化に伴い、企業におけるHDDの役割が変わり始めているのは確かだ。

 プラッタ(データを記録する円盤部分)やスピンドル(円盤を回転させるための軸)といった可動部品で構成されるため、HDDは「スピニングディスク」(回転するディスク)と呼ばれることがある。古い技術であるという意味を込めて「スピニングラスト」(回転するさび)とやゆする人もいる。

 HDDは2.5型と3.5型という2つのフォームファクター(サイズや形状の仕様)で販売され、インタフェースには主にSATA(Serial ATA)やSAS(Serial Attached SCSI)を採用している。HDDは優れたコストパフォーマンスによって、長年にわたり企業のストレージの“主役”として輝いてきた。しかし、今は昔。SSDが登場し、HDDの圧倒的な人気は弱まりつつある。今後はどうなるのか。

20TBのHDDがもたらした「衝撃」

 SSDはHDDより容量単価が高いものの、大量データの保存に欠かせない高速なデータ転送速度を強みとして着実に存在感を高めている。HDDにとっては、1つのメモリセルに4bitの情報を保存する「QLC」(クアッドレベルセル)のSSDが最大の脅威だ。2.5型のフォームファクターで30TBの容量を備えるSSDは、一般的なHDDの容量を上回る。

 2021年、HDDの保存容量は最大18TBから最大20TBに増大した。この2TBの増加は特にクラウドストレージやアーカイブストレージの市場に大きな影響を与えると専門家はみている。1台当たりの容量増加により、使用する台数に正比例して容量を増やすことができるからだ。

 この「20TBの衝撃」について、業界関係者や専門家の声を集めた。

出荷台数が増える20TBのHDD

ストレージベンダーSeagate Technologyのバイスプレジデント(製品ライン管理部門担当)、テッド・デフェンボーグ氏 かつてのストレージ市場は小容量のHDDの導入が続き、ベンダーが容量を増やした製品を投入しても顧客にあまり響かない状況だった。最近はデータセンター運営事業者がようやく20TBのHDDを求めるようになった。当社は、20TBのHDDの出荷台数を、1四半期当たりで数百万台規模まで伸ばしている。2022年は20TBのHDDの黎明(れいめい)期だということから考えれば、極めて良好な数字だと言える。今後は容量増加だけではなく、幾つか新機能を追加する計画もある。出荷台数をさらに増やしたい。


 第2回は、20TBのHDDについてストレージベンダーWestern Digitalや調査会社IDCのコメントを紹介する。

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