「IT企業からの転職組」が非IT企業を辞めたくなる理由:コロナ禍のIT活用促進術【第5回】
米国では人材の流動化が進む中、IT企業とそれ以外の企業間の転職が活発化している。伝統的な企業が、先駆的なIT企業からエンジニアなどの人材を獲得する場合、特に手厚いケアが必要だ。その訳とは。
企業がITを効果的に活用するための5つの取り組みを紹介する本連載。最終回となる本稿は、5つ目を紹介する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を経て確立が進んだ「ニューノーマル」(新しい生活様式)の中で、企業はITやそれを支える人材にどう向き合えばよいのか。
5.IT企業からの転職組の“不満”に注意する
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連載:コロナ禍のIT活用促進術
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米国には従業員の離職が続く“大量退職時代”が訪れている。こうした状況では「従業員体験」や「人材管理改善」に注目することが極めて重要だ。企業は、従業員の仕事量の問題だけでなく、企業文化の問題といった目立たない問題についても目を配ることが望ましい。
例えば伝統的な業界の企業が、GoogleやAppleのような巨大IT企業から人を採用する場合がある。この場合、伝統的な企業は「新しい専門知識を武器に、より革新的になることを目指している」と、コンサルティング会社Marlin Hawkのグローバルマネージングパートナー、ジョン・クロード・ヘスケス氏は指摘する。
このような採用活動で入社した人材は、定着が難しい傾向がある。主な原因は、革新的なIT企業から、伝統的な企業に転職したことによるカルチャーショックだ。これらの企業の間では総じて、ITに対する組織的な習熟度や意識が大きく異なる。
GoogleやAppleといったベンダーでは、新しいITを導入するメリットを他の従業員に説明するのに時間がかからなかったとしても、例えば銀行ではそうはいかない可能性がある。こうした伝統的な企業では、ITが「ビジネス戦略の一部」ではなく、「コストセンター」と見なされやすいことが影響している。
IT企業出身のエンジニアは、銀行などの伝統的な企業には「技術を最新化したり、顧客体験を向上させたりする大きなチャンスがある」と考えがちだ。だが「転職先企業の実態を理解していないと、具体的なITの活用方法を考えることはできない」とヘスケス氏は説明する。このような企業文化の問題は、すぐに消えるものではない。
変化し続ける時代、IT効率化の新常識は
常に変化する時代の中で、IT部門の効率化を支援するツールやプロセスが次々と登場している。最高情報責任者(CIO)やIT部門のリーダーは、混乱を制御して前進するために必要な独自の課題や戦略を探りながら、自らの企業に必要な取り組みを検討する必要がある。
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