今どき10代のクールな遊びは「サイバー犯罪」? 深刻化する若年攻撃者の実態:なぜ子どもが「攻撃者」になるのか【前編】
Avast Softwareはマルウェアを開発している11歳〜18歳の未成年者のコミュニティーを発見した。未成年者がサイバー犯罪に手を染めるのは、なぜなのか。
チェコのセキュリティベンダーAvast Softwareによると、サイバー犯罪グループは未成年者のメンバー募集に注力している。同社はこのほど、Discordの同名チャットサービスの専用サーバを使ってランサムウェア(身代金要求型マルウェア)を開発したり、拡散したりする未成年者のオンラインコミュニティーを発見した。このコミュニティーは情報窃盗や暗号資産(仮想通貨)の採掘(マイニング)もしているとAvast Softwareは説明する。
「10代のサイバー犯罪者化」が止まらない“深刻な背景”
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Avast Softwareによれば、サイバー犯罪グループはマルウェア開発キットを用意し、「専門知識がなくても攻撃ができる」と宣伝して、11歳〜18歳の未成年者を獲得する活動に取り組んでいる。中には「Fortnite」や「Minecraft」といったオンラインゲームの利用者を狙い、アカウントの窃盗やフォルダの削除、ポルノを含めた有害コンテンツの強制表示をしているグループもある。
サイバー犯罪グループの一部はメンバーになった人に対し、有料のマルウェア開発ツールを、価格を下げて提供している。利用料金はツールの種類や使用期間によってさまざまであり、中には「5ユーロ(約700円)から利用できるツールもある」とAvast Softwareは言う。同社は主要なサイバー犯罪グループの掲示板を観察し、動向を分析。「低価格戦略」が奏功してメンバー数が1000人を超えているグループもあるとみている。
Avast Softwareによれば、特に未成年者のメンバー獲得が活性化している。その根拠として、サイバー犯罪グループの掲示板には自分の年齢や、学校や両親に対する攻撃の手口について話し合う投稿が目に付くようになったことを挙げている。同社は、こうした投稿から家庭の不穏な状況や学校でのいじめを読み取れる場合もあると付け加える。
「ハッキングは子どもにとって『クール』で『楽しい』イメージがある」と、Avast Softwareのマルウェア研究者、ジョン・ホルマン氏は説明する。マルウェア開発ツールが使いやすくなっただけではなく、盗んだデータの販売や暗号資産のマイニングによって小遣いを稼ぎやすくなったことも「未成年者による攻撃活動を後押しする」とホルマン氏は述べる。
ホルマン氏は、攻撃は年齢を問わず犯罪だと強調する。未成年者だと、まだサイバー犯罪の仕組みに関する知識が浅く、自分自身が被害を受ける可能性もある。「購入したマルウェアに自分のPCが感染したり、口座情報がサイバー犯罪グループの手に入って不正利用されたりと、無視できないさまざまな危険がある」(同氏)
後編は、未成年者が開発したマルウェアの拡散方法に焦点を当てる。
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