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だから「ペーパーレス化」はうまくいかない それでも成功させる方法とは?:ペーパーレス化のメリットと課題【後編】
ペーパーレス化は業務効率化やコスト削減などのメリットが期待できる一方で、始める前に課題が表面化し、うまく進まないことがある。なぜペーパーレス化は難しいのか。ペーパーレス化をスムーズに進める方法は。
企業のペーパーレス化にはさまざまなメリットがある。一方で、IT導入予算の捻出やコンプライアンス(法令順守)、セキュリティなどの課題があり、全面的なペーパーレス化が難しい場合がある。
ペーパーレス化が進まない“これだけの理由” それでも実現するには?
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連載:ペーパーレス化のメリットと課題
「ペーパーレス」「電子化」関連の注目トピック
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- 2022年改正電子帳簿保存法を改正前と比較、「4つの変化」とインパクト
ペーパーレス化の障害となり得る課題の例は、以下の通りだ。
- 書類をデジタル化する作業が従業員の負担になる可能性がある
- ITシステムを採用した場合、システムを十分に使いこなせない従業員がいると、一部のワークフローが滞る可能性がある
- ITシステムのバックアップとセキュリティ対策を適切に実施しないと、データ消失によって多額の復旧コストがかかる恐れがある
- 法規則によって、紙の書類を一定期間保管しなければならない場合がある
- データ保存に必要なシステムに多額のコストがかかる恐れがある
- ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃といったサイバー脅威によってデータが侵害される懸念がある
- 古い書類を順次スキャンしてデジタル化する場合、従業員は移行期間中に紙とデジタルのハイブリッド利用で業務に従事することになる
ペーパーレス化をするか否か 判断のために必要な段取り
企業がペーパーレス化を検討する際、実施可否や進め方を適切に判断するために、次のステップを踏むのが望ましい。
- ペーパーレス化の要件、ペーパーレス化で得られること、ペーパーレス化の効果を明確にする
- ペーパーレス化のリスクを全て洗い出す
- システムの実装に必要なコストを明確にする
- 同じような方法でペーパーレス化を実施した他の企業を調査して、取り組みの全体像を明確にする
- 経営陣の賛同を得て、企業の隅々までペーパーレス化を推進する
一般的に、ペーパーレス化は正しい方向性の取り組みだと考えられており、企業はソフトウェアの進化によって紙の必要性が低下しつつある状況に対処しようとしている。今も紙の書類を大量に使っている企業にとっては、ペーパーレス化の推進は困難に見える可能性がある。だがメリットを考えると、ペーパーレス化は実施する価値があると言える。
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