「高級ビール1杯」と「ダークWebで買えるマルウェア」 高いのはどっち?:マルウェア低価格化で高まる脅威【第1回】
ダークWebで入手できる攻撃ツールは低価格化が進み、サイバー犯罪のハードルが下がっている。攻撃ツールの価格を、英国ロンドンのパブで飲めるビールと比較したら、驚くべき結果が……。
さまざまな種類のマルウェアや、脆弱(ぜいじゃく)性を突く攻撃プログラム(エクスプロイト)が、ダークWeb(通常の手段ではアクセスできないWebサイト群)で取引されている。こうした攻撃ツールの低価格化が進んでいるという。どの程度の安さなのか。価格が高騰しつつあるビールの価格と比べてみよう。
「ビールとマルウェア、どっちが高い?」驚きの答え
ダークWebではマルウェアが10ドル(約8.40ポンド)以下の価格で入手できる――。こうした実態が調査で分かった。この価格は英国ロンドンで販売されている一番高いビールの、1パイント(約570ミリリットル)の価格とほぼ変わらない。
コンサルティング会社のCGAによると、英国では2008年の金融危機以来、ビール1パイントの価格が高騰している。物価の高さで知られるロンドンには、ビール1パイントを8.06ポンドで販売するパブがあるという。CGAはその店名は明らかにしていない。
HPのセキュリティ部門「HP Wolf Security」が2022年7月に発表したレポート「The Evolution of Cybercrime: Why the Dark Web is Supercharging the Threat Landscape and How to Fight Back」によると、サイバー攻撃を実施するための費用は低下している。ダークWebではマルウェアの76%、エクスプロイトの91%を10ドル以下で購入できるという。
企業から流出したリモートデスクトッププロトコル(RDP)の認証情報は、ダークWebにおいて平均5ドルで売られているとHPは説明する。一方、攻撃の成功率が高いとみられる脆弱性情報は値が張る。同社によれば、ゼロデイ脆弱性(まだパッチが公開されていない脆弱性)は数万ポンドで販売されていることがある。
第2回は、攻撃が勢いを増している背景を説明する。
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