コロナ禍で不振になった空港が「Rise with SAP」を採用した理由:DXを進める空港の取り組み【前編】
新型コロナウイルス感染症の影響で深刻な打撃を受けた航空業界。乗客数は戻りつつあり、回復の兆しが見えている。そうした中、英国で空港を運営する企業が「Rise with SAP」を採用した理由とは。
英国で空港を運営するManchester Airports Group(MAG)は、SAPがERP(統合業務)システムのクラウドサービス移行を支援するサービス群「Rise with SAP」を導入した。MAGはロンドンスタンステッド空港(London Stansted Airport)、イーストミッドランド空港(East Midlands Airport)、マンチェスター空港(Manchester Airport)などを運営する。
空港が「Rise with SAP」を採用した理由とは?
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「RISE with SAP」の導入事例
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)が発生する前の2019年には、MAGの運営する空港を年間約6000万人の乗客が利用し、そこでは4万人以上のスタッフが勤務していた。
MAGの事業はパンデミックにより打撃を受けた。だが景気が回復しつつある中、同社はITへの投資を決断し、同社の部門改革プロジェクト「Project Build Back Smarter」の一環としてSAPと提携した。このプロジェクトはERPシステム「SAP S/4HANA」を中核要素とし、そのインフラとしてクラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)を利用する。
SAPはMAGと緊密に連携し、従業員の一時帰休方式による継続的な人員減少など、MAGが直面する人事領域の問題への理解を深めた。これが両社の連携に大きく貢献したという。
MAGの最高情報責任者(CIO)ニコラス・ウッズ氏は、空港業界に打撃を与えたCOVID-19による困難な時期が終わり、旅行者数は回復しつつあると述べる。「乗客数が戻る中、顧客に最高のサービスを提供したり従業員のニーズに応えたりするためには、可能な限りアジャイル(俊敏であること)な組織になる必要がある」とウッズ氏は語る。SAPとのパートナーシップは、それを実現するものだと同氏は付け加える。
Rise with SAPの利用に当たり、MAGは最初に主要機能をクラウドサービスに移し、そこから5年程かけてデジタルトランスフォーメーション(DX)を完遂することを目指している。
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