「がん検査100日待ち」が1万人以上――英国の惨状はITで変わるか:ITで変わるがん治療【前編】
ITの力で「がん」治療に変化を起こそうとしているのが、英国のがん治療専門機関Guy’s Cancerと、医療ITベンダーCareology Healthだ。両組織が目指す地点は。
英国のGuy’s Cancerは、医療ITベンダーCareology Healthと5年間のパートナー契約を締結した。Guy’s Cancerは、医療グループGuy’s and St Thomas’NHS Foundation Trust(以下Guy’s and St Thomas’)が運営するがん治療専門機関だ。Guy’s CancerとCareology Healthはがん治療の分野で、Guy’s and St Thomas’における
- ケア提供能力の拡充
- 業務効率化
- 患者満足度の向上
につながるイノベーションを起こそうとしている。両組織は共同開発するがん治療支援ツールについて、英国の国民保健サービス(NHS:National Health Service)関連施設はもちろん、全世界の医療従事者向けに提供することを想定している。
「がん検査100日待ち」解消なるか
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この協業を通じてGuy’s CancerとCareology Healthは、新しいデジタルツールを共同開発する。がん患者の支援を強化し、Guy’s and St Thomas’における臨床的なインサイト(洞察)と臨床データの品質向上、業務効率化を実現するためだ。
英国では、がんの疑いがある1万人以上の患者が臨床医の診察を受けるまでに104日以上待たなければならない実情がある。Guy’s CancerとCareology Healthがパートナー契約を結んだのは、まさにこの待機患者問題が深刻化しているタイミングだった。「Careology Healthの技術があれば、臨床医と患者が適切にがんを管理できるようになる」。Guy’s and St Thomas’でがん治療と外科のイノベーション担当ディレクターを務めるマジド・カズミ氏はこう考えている。
「ITは患者と医療従事者に適切な情報を与え、より良い支援の助けになる。的確なサービスを提供し、治療に充てる時間を生み出すこともできる」とカズミ氏は語る。Guy’s CancerとCareology Healthの協業を成功に導き、多くの洞察を得るために、同氏はGuy’s and St Thomas’を代表してCareology Healthの役員に就任した。
後編は、Guy’s CancerとCareology Healthが共同開発する新しいがん治療支援ツールの機能を解説する。
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