LTO-9から容量32倍の“1PB超え” 「LTO-14」開発の裏側:データ増に対する磁気テープ戦略【第2回】
磁気テープの規格「LTO」は、現行の「LTO-9」の5世代先となる「LTO-14」の具体像が見えてきた。容量にこだわり続ける、LTOの未来とは。
磁気テープの規格「LTO」(リニアテープオープン)は、基本的に新規格が出るたびに“容量倍増”を実現してきた。LTOで商品されている最新版「LTO-9」のテープカートリッジ当たりの容量は、圧縮時で45TBだ。その5世代先となる「LTO-14」のデモを、IBMと富士フイルムが2020年に実施していた。
実現可能性が見えていた“1PB超え”LTOテープの中身
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IBMでデータ保持インフラ部門のオファリングマネジャーを務めるカルロス・サンドバル氏によると、同社と富士フイルムは、早くも2020年にLTO-14のデモを実施した。この際、テープの記録媒体において、1平方インチ当たり317Gbitの面密度を実現したという。
LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)は、2022年9月にLTO-14をロードマップに盛り込んだ。その容量は、1つのテープカートリッジで圧縮時の容量が1.4PBに達するという内容だった。
容量で比較すると、LTO-14はLTO-9の32倍となる。サンドバル氏によれば、このLTO-14の製品が出るのは、2022年の本稿執筆時点から「12〜14年後」の見込みだ。
LTO-14の土台になる技術は、2020年のデモの時点で確立された。当時は試験環境だったとはいえ「LTO-14が実現可能であることは証明されている」と、米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)でアナリストを務めるビニー・ホインスキ氏は話す。
ただしLTO-14の商品化に向けた課題は残っている。LTO-14がロードマップに記載されたものの、乗り越える必要のあるハードルがある。ホインスキ氏によれば、期待や需要に見合った価格を維持しつつ、より高密度の記録を可能とする原材料を十分に確保することが主な課題になる。
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