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円安ドル高でも「AWS」「Azure」「GCP」は“あの方法”で安くなる?クラウドサービスの円安対策【前編】

円安ドル高は、ドルで計算するクラウドサービスの利用料金の上昇を招く。日本企業が円安ドル高によるクラウドサービスのコスト増加を抑えるには、どうすればよいのか。

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 Amazon Web Services(AWS)の同名サービスやMicrosoftの「Microsoft Azure」、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)など、米国ベンダーが提供するクラウドサービスの利用料金は、基本的にドルで計算する。実際の利用料金は支払時の為替レートに基づくため、円安ドル高が進行することは、日本企業にとってクラウドサービスの利用料金の高騰を意味する。円安ドル高でクラウドサービスの利用料金が高騰する影響を抑えるためには、どうすればよいのか。

円安による“クラウド破産”は抑制できる?

 クラウドサービスの利用料金を節約する主な方法は、

  • 仮想マシンサービスの割引プランを利用する
  • AWSの「AWS Trusted Advisor」やMicrosoftの「Azure Advisor」、Googleの「Active Assist」など、セルフサービスのクラウド管理ツールを利用する

の2つだ。

 「リザーブドインスタンス」といった名称の割引プランは、1年または3年分のインスタンス(仮想サーバ)の利用を確約することを条件に、利用料金を割り引く。クラウドベンダー各社は、以下の名称でこうした予約インスタンス型割引プランを提供している。

  • AWS
    1. 仮想マシンサービス「Amazon EC2」の「Reserved Instances」(リザーブドインスタンス)
  • Microsoft
    1. 仮想マシンサービス「Virtual Machines」の「Azure Reserved Virtual Machine Instances」
  • Google
    1. 仮想マシンサービス「Compute Engine」の「Committed use discounts」(確約利用割引)

 AWSのリザーブドインスタンスの場合、通常の従量課金プラン「On-Demand Instances」(オンデマンドインスタンス)で利用するときと比較して、各インスタンスの平均割引率は31%から60%となる。予約インスタンス型割引プランは一般的に、インスタンスのスペック(インスタンスタイプ)を事前に指定する必要がある。

 クラウドベンダーによっては、仮想マシンサービスの割引プランを他にも用意している。AWSの「Savings Plans」やMicrosoftの「Azure Savings Plan」(Azure節約プラン)は、予約インスタンス型割引プランと同様、特定のクラウドサービスの使用を1年または3年確約することで利用できる。予約インスタンス型割引プランとの違いは、インスタンスタイプを事前に指定する必要がないことだ。仮想マシンサービスに加えて、イベント駆動型サービスやコンテナ実行サービスなどのサービスについても、利用料金の割引を受けられる。

ドル安円高がさらに進んでも安心できる方法は

 予約インスタンス型割引プランに話を戻そう。AWSとAzureの予約インスタンス型割引プランは、

  • 割引プランの契約期間中の利用料金全額を一括で支払う「全額前払い」
  • 少額を前払いして、契約期間中に残りの料金を支払う「一部前払い」
  • 全額を契約期間中の月割りで支払う「前払いなし」

が選択できる。GCPの確約利用割引は、利用料金の前払いはできず、月割りの支払いのみとなる。

 例えばユーザー企業が「この先円安ドル高が進行する」と予測する場合は、全額前払いを選択することで、円安ドル高がさらに進行した場合に、日本円に換算したときの利用料金を節約できる可能性がある。AWSの日本法人アマゾンウェブサービスジャパンの瀧澤与一氏は「為替の動向や、インスタンスの需要の予測が難しい場合は、『インスタンスのうち60台はリザーブドインスタンスで購入し、残りの40台分はオンデマンドで購入して様子を見る』といった利用方法も可能だ」と説明する。


 後編は、クラウド管理ツールを利用してコスト削減に取り組む方法と、各クラウドベンダーが円安ドル高に対してどのような施策を講じるのかを説明する。

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