5Gが「無線LAN」に勝てそうにないのはなぜ?:無線LANの将来を占う「5大要素」【第4回】
無線通信技術が多様化している中、無線LANはもはや唯一の選択肢ではない。他にどのような技術があるのか。競合を紹介しつつ、無線LANの強みを考える。
無線通信技術の古株である無線LAN。他にもさまざまな無線通信技術が登場し、企業にとっての選択肢が広がっている。無線LANの競合技術とは何か。それでも無線LANが生き残る理由も含めて説明する。
5.無線LANの競合技術:それでも無線LANは生き残る
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連載:無線LANの将来を占う「5大要素」
「無線LAN」の知識を深めるには
もはや無線LANは、無線ネットワークの唯一の選択肢ではなくなった。消費者や企業のネットワーク管理者はこれまで「クライアントデバイスのスペックによっては、無線LANのデータ伝送速度の仕様を生かし切れない場合がある」という問題に直面してきた。そうした中、無線LAN以外の無線通信技術の採用を検討する価値はあると考えられる。無線LANと競合する無線通信技術として、主に下記がある。
- 5G(第5世代移動体通信システム)
- プライベート5G
- 5Gをプライベートネットワークとして使う仕組み。
- 市民ブロードバンド無線サービス(CBRS:Citizens Broadband Radio Service)
- 米国政府が持つ3.5GHzの周波数帯(3.55GHz〜3.70GHz)を解放し、民間と共用するサービス。
- LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)
- IoT(モノのインターネット)に特化している、低消費電力で広域通信が可能な通信規格。
矛盾しているようだが、このように複数の競合技術が存在していることは、無線LANにとって、ある意味でありがたいことになる。無線LANはこれらの競合技術に対して、コストメリットという圧倒的な強みを発揮できるからだ。予算が限られている中、企業のCTO(最高技術責任者)がCBRSやLoRaWANといった大規模な投資が必要な仕組みを選ぶか、低コストで導入できる無線LANを選ぶかの答えは想像に難くない。
5Gを愛用するエンドユーザーは、5Gの低遅延に慣れていれば、もう無線LANは使えないと論じると考えられる。コストを重視しなければならない企業にとっては、無線LANと5Gの「どちらか」ではなく、「両方を組み合わせた」仕組みの採用が現実的な選択肢になり得る。対立を克服し、用途に応じて無線LANと5Gの両方を使うマインドが早く定着することを願う。
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