「Windows Vista」や「Windows 8」が嫌われた“端的な理由”はこれだ:知っておくべき「Windows 11」アップグレードの問題点【第1回】
「Windows」のアップグレードは、これまでにさまざまな問題を引き起こしてきた。どのような問題があったのか。「Windows 11」へのアップグレードに着手する前に、まずはこれまでの問題を振り返ろう。
Microsoftの「Windows」をはじめとするクライアントOSのアップグレードは、決して簡単な作業ではない。事前にどれだけテストをしたとしても、何らかの問題が発生することは避けられない。特にクライアントOSとして広く使われているWindowsのアップグレードは、それだけ影響が大きくなりがちであり、これまでにさまざまな問題を引き起こしてきた。
だから「Windows Vista」「Windows 8」は嫌われた
併せて読みたいお薦め記事
「Windows」運用ノウハウ集
- 「Windows 11が無料じゃなくなる」前に移行を済ませる無料支援ツール3選
- Windows 10「HDDやSSDがなぜか遅い」は“あれ”が原因だった?
- Windows 10「なぜかネットが遅い」問題は“あれ”が原因だった?
「Windows Vista」を例に考えよう。Windows Vistaは、管理者権限を持つエンドユーザーに対しても権限を制限する「ユーザーアカウント制御」(UAC)の追加をはじめ、さまざまなセキュリティ機能の強化を図った。ところが、こうした変更が原因で、前バージョンである「Windows XP」やそれ以前のWindows向けアプリケーションが、正常に動作しなくなる事態が続出した。
Windows Vistaの登場以前、開発者は、Windowsによる過度な制限がない状態で動作することを前提に、アプリケーションを開発していた。そのためWindows XPで動作していた幾つかのアプリケーションが、Windows Vistaでは動作しないことがあったのだ。
「Windows 8」へのアップグレードも同様に、さまざまな企業で問題を引き起こした。Windows 8では、ユーザーインタフェース(UI)が前バージョンである「Windows 7」やそれ以前のWindowsから大きく変わった。タッチ操作を随所に盛り込むなど、タブレットでの使いやすさを考慮したUIになったのだ。そのためWindows 8の登場当初は、使い方が分からなくなり、混乱したエンドユーザーからの助けを求める声で、企業のヘルプデスクがあふれかえった。
クライアントOSのアップグレードは、一部のデータが消失したり、個人設定がデフォルトに戻ったりするなど、エンドユーザーにとってさまざまな問題を引き起こす可能性がある。どれほどデザインが良く、UIの移行がスムーズなクライアントOSでも、こうした問題は避けられない。
「Windows 11」へのアップグレードでは、ハードウェア要件の厳しさやエラーメッセージの分かりにくさ、ファイル管理ツール「エクスプローラー」などのコンポーネントの問題まで、さまざまな問題が発生している。次回以降は、こうした問題と、その対処法を紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.