インターネットを遮断なんてあり得ない――それは世界の非常識?:もしもインターネットが遮断されたら【第1回】
国や地域によっては、政府によるインターネット遮断が発生する。その場合、どのような影響が生じているのか。インターネット遮断の実態を探る。
政府が意図的にインターネットを遮断したら、どのような影響が生じるのか。VPN(仮想プライベートネットワーク)関連の情報を扱うWebサイト「Top10VPN.com」(運営:PrivacyCo)が、インターネット遮断による影響をまとめた。インターネット遮断による影響が特に大きい国はどこなのか。
「政府によるネット遮断」はむしろ世界の常識 深刻度1位は“あの国”
それによると、2022年は23カ国で114件の大規模なインターネット遮断があり、経済損失は240億ドル(約3兆900億円)弱に上った。インターネット遮断の影響を受けた人は、2022年は全世界で約7億1000万人になり、2021年と比べて41%増えた。
2022年、インターネット遮断による経済損失が特に大きかった国は、以下の通りだ。
- ロシア(215億9000万ドル)
- 2022年3月、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「Instagram」「Facebook」「Twitter」へのアクセスを遮断した
- イラン(7億7300万ドル)
- 反政府抗議デモの広がりを受けてインターネットの遮断や制限を実施
- カザフスタン(4億1070万ドル)
- 燃料不足への抗議運動の勃発を機にインターネット遮断を実施
Top10VPN.comは、社会統制としてのインターネット検閲やインターネット遮断に反対している。同Webサイトによると、インターネット利用が制限されれば、インターネットを使った経済活動ができない「直接的な損失」の他、制限を迂回(うかい)するためにVPNを使わざるを得なくなるといった「間接的な損失」も生じる。
インターネット遮断を可能にする技術についてもTop10VPN.comは調査した。それによれば、インターネット遮断によく用いられる手法は以下の通り。
- インターネット接続を停止させる「キルスイッチ」の使用
- インターネットサービスプロバイダー(ISP)に対する、重要回路の電源オフの強制
- 通信機器間で経路情報を交換するプロトコル「BGP」(Border Gateway Protocol)を操作し、特定のWebサイトへの接続を遮断
- 特定のIPアドレスへの接続をブロック
第2回は、インターネット遮断にISPがどう関わっているのかを考える。
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