新型コロナに耐えるインターネット【前編】
新型コロナがインターネットにもたらした「過去に経験がない」変化とは?
新型コロナウイルス感染症の流行拡大でインターネットのトラフィックが急増した。実際にインターネットに何が起きたのだろうか。ISP各社に聞いた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大の影響を受け、インターネットの利用が急増している。これに対してインターネットサービスプロバイダー(ISP)や通信事業者は、インターネットに接続するネットワークを増強して対処している。
世界各地で新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、外出制限や在宅勤務の動きが広がった。これによってインターネットのトラフィック(通信量)が急増した。これまでもEpic Gamesが提供するオンラインゲーム「Fortnite」の最新版のダウンロードにアクセスが集中する、といったトラフィックの急増は幾度となく発生していた。だが今回のように「世界中でトラフィックが増えるのはこれまでに例がない」と、ISP事業を手掛けるCenturyLinkのCTO(最高技術責任者)、アンドリュー・デュガン氏は指摘する。
インターネット利用傾向の変化
ISP各社は、通信が混雑する輻輳(ふくそう)を回避するため、トラフィックの変化に応じて通信経路を動的に変える「トラフィックエンジニアリング」などの対策に関するノウハウを持っている。パケットロスや通信遅延を検出して輻輳の発生状況を把握するとともに、トラフィックが正常に処理されるように対処している。
こうしたISPの専門技術やノウハウは、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でも、輻輳緩和に一役買っている。ただし簡単な状況ではない。
「今回のパンデミック(感染症の世界的な流行)の影響でトラフィックが膨大になり、さらにインターネットの利用傾向に変化があった」とデュガン氏は語る。感染拡大が始まって2週間程度でCenturyLinkのネットワークインフラの各所にアクセスが集中したため、同社は早急に回線容量(帯域幅)を拡大させた。
インターネット利用のピークは夜間に集中する傾向にあったが、Web会議ツールをはじめとするコミュニケーションツールの利用が拡大したことで、さまざまな時間帯にトラフィックが集中するようになったという。「トラフィックの急増は大きな懸念点だった」とデュガン氏は説明する。
ISP事業を手掛けるComcastのネットワークインフラにおいてもトラフィックが急増した。同社でネットワークエンジニアを務めるノーム・ラファエッリ氏によると、シアトルなど米国西海岸の広い地域で、特にWeb会議のトラフィックが大幅に増加した。
「当社のネットワークインフラは、こうしたトラフィックの急増にも対処できる仕組みと規模を備えている」とラファエッリ氏は語る。それでも新型コロナウイルス感染症の拡大によるトラフィック急増に備え、同社はネットワークインフラを増強した。
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