「意図通りの出力を得られる」だけでは評価されない
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
生成AIの社内利用が進み、「Claude」をはじめとするツールの日常利用が定着している。一方で、使い方によっては費用や処理時間が悪化する課題も浮き彫りになってきた。現場で起きている落とし穴とは何か。
生成AIの社内導入が一巡した企業で、IT担当者やエンジニアリングチームが次に直面するのが「運用の高度化」と「費用の最適化」だ。GMOインターネットグループは、2026年9月7日から9月11日にかけて、同グループの国内従業員5894人を対象に、生成AIの活用実態を調査した。同社に在籍する従業員はエンジニアやクリエイターが5割以上を占める。
調査では、自然言語を用いてAIツールにプログラムを生成させる「バイブコーディング」の実践率は54.1%で、経験者を含めると81.2%に達した。AIツールの定着に伴って、AIモデルの利用に伴う処理単位「トークン」の消費量を意識し、費用対効果を厳密に管理する「トークンマネジメント」への意識も高まっている。全社的なAI活用が進む企業で、IT担当者は人間とAIツールの役割境界をどのように設定し、費用効果を最適化しているのか。
バイブコーディングの定着と複数モデルの併用
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トークンマネジメントの重要性
調査時点で、同グループの国内パートナーにおける生成AIの業務活用率は99.0%に到達し、前回の調査(2026年6月実施)から0.3ポイント上昇した。利用頻度についても89.5%が「ほぼ毎日利用している」と回答しており、業務における標準的なインフラとして定着している。AIの業務活用による時間創出の効果は継続して拡大中で、活用者1人当たりの月間削減時間は約69.6時間に上る。これをグループ全体の規模で推計すると、月間約46.8万時間の業務時間が削減された計算だ。
活用実態の高度化を示す指標として顕著なのがバイブコーディングの浸透だ。生成AIを業務で活用している担当者のうち、バイブコーディングを日常業務で実践している割合は54.1%に達し、前回の調査から13.3ポイント上昇した。「試したことがある」と回答した27.1%を含めると、全体の81.2%が自然言語による開発手法を経験したことになる。
利用する生成AIツールの構成も、用途に応じたマルチモデル運用へとシフトしている。日常的に利用するサービスとして最も多く挙げられたのは「Claude」で、全体の80.3%(前回差+6.9ポイント)を占めた。次いで「Gemini」が61.9%、「ChatGPT(Codex)」が61.6%だった。単一のツールに依存するのではなく、利用者の87.1%が複数の生成AIサービスを併用しており、1人当たりの平均利用サービス数は2.9種類だった。業務の特性やコンテキストに応じて、最適なAIモデルを使い分ける運用体制が標準化している。
費用対効果を厳格に評価する「トークンマネジメント」の台頭
AIツールが定着した企業で、次の課題は運用費用の適正化だ。調査では、トークンの消費量を意識して利用費用を制御するトークンマネジメントの実践状況が可視化された。
調査の結果、トークンマネジメントを「既に意識し実践している」と回答した割合が33.9%、「一部の業務で実践している」が26.8%で、合計60.7%の活用者がトークンマネジメントを実業務に取り入れていることが分かった。調査結果からは、優秀なAI活用人材の定義が「意図通りの出力を得られる人」から、「トークン消費費用と得られる成果(アウトカム)のバランスを厳格に管理できる人」に変化していることがうかがえる。
効率と責任の観点から再定義される「人間が担うべき業務」
生成AIの適用範囲が拡大する一方で、現場では「AIツールを使わない方がよい領域」の境界線が明確化している。回答の分析からは、主に2つの観点から「人間が直接介入すべき業務」が定義された。
1つ目は、トークン効率の観点におけるアンチパターンだ。「大規模なソースコードの1行のみを修正する」といった局所的タスクで、ソースコード全体をAIツールに読み込ませると、トークン消費量が膨大になり、効率が悪い。このような作業は、AIツールを使うよりも人間が手動で修正・テストした方が、時間の面でも費用の面でも合理的だ。
2つ目は、コンテキストの理解と責任領域だ。関係者の感情や背景要因をくみ取る交渉や謝罪などの対人コミュニケーションは、人間の中核的役割だと捉えられている。出力結果の正確性の保証、セキュリティや業務への影響に関わる最終的な意思決定でも、AIツールの出力を「一次案」と位置付け、人間がレビューと責任を負う運用ルールが定着している。
全業務にAIを一律適用するのではなく、トークン消費効率を見極め、最終責任を人間が負う。こうした適材適所の運用プロセスを自社に浸透させることが、真の投資対効果(ROI)向上につながる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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